裁判員裁判:前科言及の冒陳を制止 東京地裁

http://mainichi.jp/select/jiken/saibanin/news/20100706k0000m040087000c.html

争点を絞り込んで行われる裁判員裁判で冒頭陳述が制止される異例の展開となった。
検察側は、裁判長が公判前整理手続きで前科立証を止めていないとして「不意打ちのような訴訟指揮」と反発。

09年9月8日、東京都葛飾区のアパートに侵入し現金1000円を盗み、灯油をまいて放火し約1平方メートルを焼いたとして起訴された。
事件の手口が特殊な場合、犯人性立証のために前科に関する証拠を提出することが許された例があるが、河合裁判長は「被告の前科は特殊ではない」と退けた。

同種前科による立証は、裁判所に予断、偏見を与え誤った認定に陥らせる危険性があることから、原則として許されないものとされていて、前科における犯行手口が特殊な場合や、犯罪の客観面が立証されていることを前提に同種前科により主観面(故意など)を立証する、といった限られた場合に例外として許容されるに過ぎないものとされています。記事を見る限り、犯行手口が特に特殊とは思えませんね。
公判前整理手続で、検察官の立証方針は明示され、こういった点も争点になるかどうかは検討されていたはずで、なぜ、公判段階になって、上記の記事にあるようなことになるのか、よくわかりません。争点整理が不十分なまま公判に入ってしまったのでしょうか。
裁判員としては、一体何が起きているのかよくわからず、そうでなくても戸惑うことばかりなのにますます戸惑ってしまったことでしょう。今後、被告人質問で検察官が前科について聞こうとすると弁護人が異議を述べ裁判官が制止する、といった場面が出てくることも予想され、裁判員にとっては、わけがわからず疲れる公判になりそうです。