’11裁判員:「無罪」を破棄、差し戻し 東京高裁「訴訟手続きに誤り」

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110330ddm041040034000c.html

飯田裁判長は「起訴内容と被告の前科10件は、放火の手段方法に特徴的な類似性がある」と指摘。検察側が証拠請求した前科事件の判決書や供述調書の一部を起訴内容と関連する証拠と認め、「地裁が公判前整理手続きで証拠採用しなかったのは違法」とした。
被告は09年、東京都内のアパートで現金を盗み、室内に放火したとして起訴された。放火の直接証拠はなく、1審は「第三者による放火の可能性を否定できない」とし、放火罪成立を認めず懲役1年6月を言い渡した。

この件については、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100707#1278433207

とコメントしたことがありますが、問題は、例外として前科による立証が許容されるほどの、犯行手口に特殊性があるかどうかでしょうね。
記事で、高裁は「起訴内容と被告の前科10件は、放火の手段方法に特徴的な類似性がある」と指摘、とありますが、前科に特徴的な類似性があっても、それ自体に特殊性がなければ、そういった手段方法で犯行に及ぶ人は他にも存在する蓋然性が高く、そういった証拠を事実認定の資料にすることは、裁判所の判断を誤らせることにつながりかねません。特に、判断するのが裁判員であればなおさらでしょう。
裁判員制度下で、差戻審が行われるることになれば、初めてのケースということですが、既に取調べられている証拠を、どのようにして新たな裁判員に理解してもらうのか、審理の進め方をどうするのかなど、手続面でも今後について興味を感じます。