違法献金事件:「訴因変更」で立ち往生 大久保元秘書公判

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100507k0000e040061000c.html

ボ2ネタ経由で知りました。興味深い問題が生じているようです。

特捜部は1月16日、陸山会の07年分の収支報告書の支出を4億円過少記載したとして大久保被告を再逮捕。04、05年分の別の虚偽記載も含めて立件し、2月4日に東京地裁に両年分の訴因変更(07年分のみ追起訴)を請求した。訴因変更請求があった場合、裁判所はすぐに許可するケースが多い。だが、東京地裁は今も訴因変更を認めていない。
ネックとみられるのが公判前整理手続き。ある業務上過失致死事件の判決で東京高裁は08年11月、「公判前整理手続き後は、争点整理と審理計画が策定された趣旨を無視した訴因変更は許されない」との判断を示した。この高裁判例を念頭に、大久保被告の弁護側は「公判前整理手続きで争点を絞り込んだのに、検察はだまし討ちのように訴因変更請求をした」と主張しているとみられる。
これに対し、検察側は「やむを得ない措置」と反論。検察側、弁護側双方とも一歩も引く構えを見せていないという。

従来から、訴因変更の時期的限界ということは言われていて、当初の訴因を前提に検察官と被告人、弁護人の攻防が尽くされた後に、それを無にするような訴因変更が請求されてもそれは認められないということが言われ、そうした裁判例もあります。上記の記事で紹介されている問題は、裁判員制度、公判前整理手続の下、訴因変更の新たな限界が生じてきたことを示すものでしょう。
これを機に、訴因変更の限界について、さらに議論が深まる可能性もありそうです。