http://www.asahi.com/national/update/0311/OSK201003110045.html
判決当日、法廷で言い渡された内容は、量刑理由の部分で、「再び同様の犯行に及ぶ可能性は大きい」という検察側の主張について、理由を示さないまま「量刑上、考慮要素にはならない」とした。こうした内容は、報道機関にも「判決」として配布された。
ところが、後に裁判官だけで作成した正式の判決書は、「被告人が再び同様の犯行に及ぶ可能性がないとはいえないが、それが大きいといえるかは不明であるから、考慮できない」と再犯の可能性について判断を書き加えていた。
刑事事件の場合、判決宣告時に判決書はできている必要がなく、かつ、判決では「要旨」を述べるというスタンスがとられていため、後にできあがった判決書の内容と、口頭で述べた「要旨」がずれている、ということはよく起きますね。
従来は、事実誤認を理由に検察官控訴が出た場合に、地裁の裁判官が、高裁で破棄されないように、判決後に必死に理由を書き足す、ということも時々行われていて、できあがった判決書を見ると、判決宣告時よりも大幅に増強されていて関係者が驚く、ということが起きることもあります。
裁判員裁判における判決で、宣告内容と後日にできあがった判決にずれがあると、裁判員にとってみればないがしろにされたという感覚を持つ可能性がありますが、所詮、裁判員というのは、裁判所にとっては歓迎できない迷惑なお客様で、その程度の存在、ということではないかという印象は受けます。