http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091226-OYT1T00018.htm
自ら用立てた資金を大きく上回り、母親から提供を受けた資金は12億6000万円に上ることを明らかにした鳩山氏。だが、その大半の使途は説明されていない。
政治資金規正法は、かつては「ザル法」などと言われ、その違反についても、検察庁も形式犯として相手にしない程度のものでしかありませんでしたが、最近は徐々に実質犯化し、法定刑も重くなって、検察庁もそれなりの重みがあるものとして捜査するようになっています。政治資金の透明化が強く要請される中、それ自体は時代の流れと言えるでしょう。
ただ、私見としては、同法の実質犯性を根拠づけるのは、第三者から政治資金が提供される中で、その提供された資金について、ということであって、鳩山首相のように、身内の資金で「身銭を切る」というパターンでは、虚偽があっても、やはり形式犯にとどまるのではないかと思っています。とは言え、今回の事件では、偽られた金額があまりにも巨額で、社会的影響等も総合考慮して公判請求者が出た、ということなのでしょう。そういった検察庁の処理には、それなりに理解できるものはあります。
鳩山首相は、自分は資金についてあずかり知らなかったと言い張っていますが、これだけ巨額の資金が動いていながら、細部はともかく、大きな流れについてまで知らなかったはずもなく、そこを、言いなりで、取調べもせず上申書提出でお茶を濁して事件処理した検察庁側には、所詮は形式犯だからという判断と、鳩山首相側に恩を売り貸しを作っておいて、死刑問題や取調べの可視化問題等、今後、法務省、検察庁が厳しい立場に置かれることが予想される状況下で、「鳩山カード」を手元に残しておくという政治的な判断があったのではないかという印象を私は受けています。
鳩山首相としては、自らの政治資金の源泉について検察庁により徹底的に調べ上げられ、その中には知られたくなかった部分も多々あった可能性もあって、今後、法務省、検察庁に厳しく臨みたいといった場面になると、いまだ知られていない、そういった部分が脳裏に浮かび、それと共に「リーク」という言葉もじわじわと脳裏に浮かんでくるはずで、首根っこを押さえられたような気分になっているかもしれません。そうであれば、法務省、検察庁としては、形式犯であっても手間暇をかけ捜査した意味はあったということにもなってくるでしょう。
鳩山首相の資金について、検察庁は、その流れも可能な限り調べ上げているはずで、その中には、他の民主党関係者に流れたものも相当額あった可能性があって、そういった資金が流れた先(「政権党」関係者ということになりますが)に、法務省、検察庁が、今後、陰に陽に影響力を及ぼして行く上でも、この事件がじわじわと効いてくるということも考えられます。捜査の過程で、様々な関係者の様々な政治資金に関する問題が判明したものの検察庁が「現時点では」敢えて事件化しなかったということもあり得て、時効にかかっていなければ、今後、問題化する可能性は残ります。
何かの機会に、法務省、検察庁関係者が現れて、にやっと笑いながら、「先生は首相とかなり親しくされてきたようですね。」などと言われ、言われた側は強く出られなくなる、という場面が、今後、随所で出てくるかもしれません。