「再犯防止施策の充実」(平成21年版犯罪白書)

今年の犯罪白書の特集は、「再犯防止施策の充実」で、その部分を一通り読んでみました。
私が、接する被疑者、被告人によく言っているのは、社会に出たら定職を持ち真面目に働くこと(仕事に打ち込めば悪事に走る余裕はなくなるし収入も安定しその必要もなくなる)、家族を大切にしてその信頼を裏切らないようにすること、悪い交遊関係を断ち、断てないとしてもほどほどの付き合いにとどめること、といったことですが、こういった点がうまく行くかどうかで、再犯に陥るかどうかが大きく変わってくることを、読んで改めて認識しました。
印象的だったのは、保護観察対象者からの聴き取り中の、

勾留中に面会に来た2歳の長男が、父親である自分の顔を忘れてしまっていたことにショックを受け、絶対に刑務所には行きたくないと思い、更生を決意した。
(284ページ)

という体験談で、こういった、更生につながるエピソードを、個々のケースにおいて、良い意味でうまく作って行くことも重要ではないか、という気がしました。
こういった形で、時々、犯罪白書でも取り上げ、施策を検証し新たな試みへとつなげて行くことは、今後とも必要でしょう。この問題に関心を持つ人々がより増えることを期待したいと思いました。