狼・さそり・大地の牙 「連続企業爆破」35年目の真実

狼・さそり・大地の牙

狼・さそり・大地の牙

多数の死傷者を出し日本全国を震撼させた三菱重工ビル爆破事件など、かつての連続企業爆破事件等につき、取材した当時の記者が書き記したもので、今となっては遠い過去の事件になりましたが、当時の生々しい雰囲気が伝わってくるようで、興味深く読みました。
昭和天皇が乗る御成列車爆破計画が発覚した経緯についても紹介されていて、伊藤元検事総長

秋霜烈日―検事総長の回想

秋霜烈日―検事総長の回想

も併せ読むと、当時の捜査等当局内部の動きがよくわかります。
検察庁では、公安事件が過去のものとされ優秀な検事はこぞって特捜部志向になっていますが、オウム真理教による事件に見られるように、治安の根底を揺るがすような事件は、いつ、いかなる形で発生するかわからず、特捜、特捜と草木もなびくような風潮の中、公安感覚を持った検事を少数であっても養成しておくことがやはり必要という印象を改めて持ちました。