一審無罪破棄し無期懲役=神戸の質店主強殺−大阪高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090924-00000140-jij-soci

被害者と面識がない緒方被告の指紋や足跡などが現場に残されており、被告側は「事件より前に仕事を頼まれ部屋に入った」と主張していた。
小倉裁判長は「見ず知らずの被告に仕事の相談をするとは考え難い。被害者と会ったとする時間帯の供述はあいまいで、他の証言にも一貫性がない」と指摘した。
被告を犯人とする目撃証言については「証言者の記憶に揺らぎはなかった」として信用性を認めた。その上で「残虐非道な犯行で、責任は重大」と述べた。

犯行現場に上記のような痕跡(被疑者、被告人と被害者との接触をうかがわせるもの)があった場合、それが犯行当時のものか、それ以外の機会のものなのかということが激しく争われることは、過去の難事件でも見られます。結局は、他の証拠との総合的な評価や、別の機会のものであるという被疑者、被告人の弁解の信用性といったことを慎重に行う中で結論を出すしかありませんが、本件では、プロの裁判官の評価が、1審と控訴審で大きく分かれたということになります。自白はなかったようですから、自白以外の証拠でどこまで認定できるかということが問題になったかなりの難事件ということが言えるでしょう。
裁判員裁判が行われた場合に、おそらく、裁判員にとって最も判断が難しい部類の事件であり、この種の事件をどこまで裁き切ることができるかということが、裁判員制度が何とか存続できるか、早期に頓挫するかを決めるような気がします。