裁判員「メモなし」で本当に大丈夫?

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009070490173039.html

最高裁によると、全国で行った模擬裁判を検証したところ、裁判員が法廷でメモを取ることについて消極的な裁判官が大半を占めた。理由は、(1)目の前のやりとりに気が回らなくなる恐れがある(2)やりとりを忘れても評議の際に映像で確認できる−だった。
法廷には、カメラとマイクで発言内容とその様子を録音・録画する音声認識システムが設置される。キーワードや発言者を入力して検索すると、知りたい発言部分が映像と文字で再生できる。
これに対し、埼玉や大阪などの弁護士会は速記録の活用を求めている。埼玉弁護士会は五月、評議での音声認識システムの映像の利用について「正確な証言を必要に応じて確認しながら行うことは困難」と会長声明で指摘した。
速記官による記録は、文字の誤変換トラブルが起きる音声認識システムとは違って正確で、書面なら証人の発言内容を比較検討しやすいなどの利点がある。今では、キーを打ち込むと即座に日本語の文字に変換される電子速記装置が普及。関東の女性速記官は「審理終了と同時に裁判員に速記録を手渡すことは技術的に可能」と話す。

音声認識システムは、かなり精度が良くないようで、どこまで実用に耐えられるかどうかという疑問もあり、上記のような弁護士会の提言になっているのでしょう。
現実的には、速記官による速記の活用が望ましいように思いますが、裁判所は、既に速記官養成をやめてしまっていて、このままでは、今後、速記に依存することは次第にできなくなるので、裁判員制度を支えるという観点から、速記制度の存続を目指すべきなのかもしれません。
情報を認識する際に、メモを取ることで身につく人もいれば、そうではない人もいて、人それぞれですから、裁判員がメモを取ることをあまり強く制止したりするのもどうかと思いますが、細かくメモを取りすぎると、話す証人や被告人の表情等に目が行かなくなり、微妙な心証が取りにくくなる恐れもあるので、メモを取るとしても、メリハリをつけあまり細かくなりすぎないようにしたほうが良いのではないかと思います。