福岡・幼児3名死亡事故に懲役20年の判決(福岡高等裁判所)

午前10時のNHKニュースで報じられていました。原判決が破棄され、危険運転致死傷罪が認定されたということでしょう。
この事件については、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080109#1199841518

とコメントしましたが、検察庁による控訴審における補充立証が功を奏したということになりそうです。
今後、次々とニュースが出てくるはずですから、おってコメントしたいと考えています。

追記:

危険運転罪認め、懲役20年=「飲酒で視覚低下」と一審破棄−3児死亡事故・福岡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090515-00000041-jij-soci

陶山裁判長は、脇見が事故原因とした一審判決ついて、検察側の主張通り「認定に誤りがあることは明らか」と判断。被告が飲酒により「前方注視に必要な視覚の能力が低下していた」とし、危険運転罪が成立すると結論づけた。 

他の報道によると、1審判決後、検察庁、警察は、脇見をしたまま走行してこの事故が起きるということはあり得ないことを明らかにするため、現場で実況見分を行い、その結果を証拠として控訴審提出したようであり、そういった補充立証も含め、福岡高裁が上記のような判断に至ったということでしょう。
危険運転致死傷罪が成立するためには、危険な状態にあることを行為者が認識している必要もありますが、運転前や運転時の被告人の言動から、そういった点も認定されているものと思われます。
危険運転致死傷罪の認定として、妥当な証拠評価が行われているかは、判決文をきちんと見てみないと何とも言えませんが、裁判所により、本来は高かったはずの犯罪成立のハードルがかなり下げられる、ということになれば、それはそれで問題であり、この種の犯罪に対する処罰の在り方、犯罪構成要件の中身といったことを再考すべき時期に来ているのかもしれません。
ここまでは、法律家の端くれとしてのコメントですが、一国民、一個人としての気持ちを最後に言うと、両親と楽しく、幸せに生活していたお子さん達3名が、何の落ち度もないのに、突然、事故に巻き込まれ、暗い海に転落し、無念の死を遂げてしまったということを考えると、1審の判決には心情として納得できないものがあり、審理不尽を感じさせるものもあって、高裁判決には、判決結果がおさまるべきところにおさまった、と感じるものがあります。