アル・カーイダ水責め尋問「逆効果だった」…FBI元捜査官

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090515-00000144-yom-int

証言によると、元捜査官は信頼関係の構築などを基本とする通常の方法で尋問し、アル・カーイダ最高幹部ハリド・シェイク・ムハンマド容疑者(逮捕済み)が米同時テロに関与していたなどの有力情報を自白させた。
ところが、中央情報局(CIA)に委託された民間取調官が続いて尋問を担当した際、水責めを行った結果、ズベイダ容疑者は口を閉ざしたとされる。元捜査官は「過酷な尋問は非効果的だ。アル・カーイダ打倒の取り組みに有害となる」と主張した。

私も、「元取調官」ですが、その経験からも、上記のFBI元捜査官が言っていることには、うなずけるものがありますね。
取調官当時は、過去の著名な事件の取調べに関する資料とか、取調官の体験談などを、いろいろと読んだり聞いたりして勉強していましたが、それらも参考にして自分なりに心がけていたのは、取調べられる側には、言えない事情が必ずあるはずなので、追及するというよりも、そういった事情をまず理解し、一緒に考えて、言える方向にできるだけ持って行くこと、そのためには人間関係をできるだけ良好なものにして、相手の人格を傷つけたり大切にしているもの(親、兄弟や友人、知人との関係など)を侮辱するような言動は厳に慎むこと、といったことでした。取調べですから、時には厳しく迫ることも避けられませんが、供述調書を作成するときには、できるだけ落ち着いた状態で作成するようにして、取調べられる側の言いたいことはきちんと言える状態を持つようにもしていました。
こういった心がけを持っている取調官は、日本で大勢いると思いますが、やはり日本特有のものではなく、取調べというものの本質に関わる面があるということではないかと思います。
以前、読んだ

狙撃 (新潮文庫―チャーリー・マフィンシリーズ)

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で、ソ連の事情に通じた英国・MI6の取調官が、ソ連からの亡命者の尋問で、通じた事情を巧みに利用し、相手の信頼も得つつ、徐々に真相を語らせるシーンがあって圧巻でしたが、やはりそういうものなのでしょう。