コストコのスロープ崩壊、再捜査へ 無罪判決で東京地検

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161123-00000026-asahi-soci

一審・東京地裁立川支部は1級建築士を有罪としたが、今年10月の控訴審判決は、逆転無罪とした。「通常は統括責任者らが、変更内容を確認すべき義務がある」と、他の関係者の責任について異例の言及をした。東京地検は変更後の起訴内容をもとに、1級建築士以外の過失責任について調べる。

この件については、先日、

コストコのスロープ崩落、建築士に逆転無罪判決 高裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161123-00000026-asahi-soci

で、

この人物のここが過失として問われるべきだ、ということを、捜査のかなり早い段階で見極めた上で捜査を的確に進めないと、ポイントを外してしまい、また、調書の取り方も的外れになってしまうことになって、いかにうまく見極めるかが非常に重要になりますし、私も、かつて検察庁にいた当時、捜査、公判でこういった事件を担当して、随分と頭を悩ませつつ取り組んだ経験がありました。
有罪、無罪の当否は、証拠を見ていないので何とも言えませんが、そういった自分自身の経験に照らし、記事を読みつつ、どの人のどういう過失を捉えるかという、その見極めが捜査できちんと行われていたのか、疑問に感じるものがありました。

とコメントしましたが、おそらく、そういう問題意識での再捜査ということになるのだろうと思います。
ただ、事故発生が2011年3月11日で、業務上過失致死傷罪の公訴時効期間は5年で既に5年が経過しており、無罪になった人の公判中に時効が停止していたと見るのは(そういう考え方もありますが)、一般的な実務としてはかなり困難で(過失犯の共同正犯とでも見れば可能になる余地がありますが、無罪で確定していますからそういう構成も無理でしょう)、仮に何らかの過失が認定できそうだということになっても、起訴は極めて困難ではないかという気がします。
こういったジャンルの事件でも、初動捜査の重要性を感じさせるものがあります。