痴漢跳び蹴りでネット論争 相半ばする弟への同情と批判

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081003-00000005-jct-soci

「加害者」の専門学校生の男(26)は同日深夜、20代で会社員の姉から電話があり、自宅前で姉の帰宅を待っていた。周辺の住宅街で最近、痴漢被害が相次いでいることもあったという。
すると、姉の悲鳴が聞こえ、その方向へ走ると、姉に追われて自転車で逃げてくる「被害者」の男(40)を見つけた。「止まらんかい」と声をかけたが、そのまま逃げようとしたため、「止まれや」と言いながら、すれ違いざまに男の胸を跳び蹴りした。男は転倒して頭を打ち、間もなく搬送先の病院で死亡した。
豊中署では、弟を現在も傷害致死の疑いで任意で調べており、書類送検する方針だ。一方、深夜で目撃者はいなかったものの、姉は自転車の男が追い抜きざまに右胸を触ったと証言しており、同署では、死亡した男を府迷惑防止条例違反の疑いで調べている。

相手が向かってくる状況があれば、急迫不正の侵害に対するものとして正当防衛が成立する余地がありますあ、逃げようとしていた、ということなので、正当防衛状況ではないですね。
可能性としては、現行犯逮捕(一般私人でも可能)のために有形力を行使した、ということで、法令行為として違法性が阻却される、ということが考えられますが、「胸への跳び蹴り」ということが、正当性を逸脱しているのではないか、ということが問題になるでしょう。当時の現場の状況がよくわかりませんが、率直に言って、やや手段として過剰ではないか、という印象は受けます。
ただ、被害者に落ち度があること、動機にかなりの酌むべきものがあること、被害者死亡の経緯(転倒して頭部を強打)に不運な面があること等々にかんがみれば、傷害致死罪が成立するとしても、刑期や執行猶予を付すことなどで、相当程度、被疑者、被告人に有利に考えてあげるべき事情があるケース、ということは言えるでしょう。