裁判員より目立つ裁判官の発言 立命大准教授、模擬裁判評議を分析

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議論のルールや法律の説明など、裁判官による発言が必要な場合を除いても、裁判長の発言回数や発話量が全体の5割近くを占めていた。ある地裁で今年行われた評議では、裁判長が532回発言したのに対し、裁判員1人の平均発言数は137回、1番発言の少ない裁判員は41回だった。
また、別の評議では、裁判員の発言で会話相手が明確な275回のうち、裁判長への発言が268回と大半を占め、裁判員同士の会話はわずか3回しかなかった。

こういった状況は、陪審制を採用せず、裁判官が裁判員とともに裁く裁判員制度を導入した段階で、当然、予想されていたことで、このような状況自体ががいけない、ということであれば、裁判員制度自体を根本的に見直すか、廃止してしまう以外にないでしょう。
長年にわたり、その道一筋で来たプロの裁判官と、たまたま選ばれた素人の裁判員が評議の場に臨むわけですから、発言回数、発言量という点に着目すれば、前者によるものが多くなるのはやむをえないことだと思います。
むしろ、いかに裁判官が、裁判員に話しやすい環境を作って行くか、回数や量が少なくても、裁判員の発言をいかにうまく引き出し、適切に評議結果に反映させて行くか、ということでしょう。裁判官による工夫が、強く求められていることは明らかですが、では、どれだけうまく進められるか、ということになると、私はかなり懐疑的です。