原爆で終戦早まる、「しょうがないな」と久間防衛相

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070630it12.htm?from=top

1945年8月に米国が広島と長崎に原子爆弾を投下したことで昭和戦争終戦が早まったと指摘した上で、「間違えると北海道までソ連に占領されていた。原爆も落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、『あれで戦争が終わったんだ』という頭の整理でしょうがないなと思っている」と述べた。
米国に対しては、「勝ち戦と分かっているときに原爆まで使う必要があったのかという思いがするが、アメリカは恨んでいない。国際情勢や占領状態からすると、そういうことも選択としてあり得る」と語った。

この問題を私なりに整理すると

1 原爆のような非人道的な兵器を、しかも、一般市民が多数生活している都市の中心部に投下するということが、そもそも許されるのか、そういった行為を正当化する何らかの理由が見出せるのか、という米国側の問題
2 そこまで状況が切迫しているにもかかわらず、終戦に踏み切れず、後手後手に回ってしまった日本側の問題
3 1や2を巡る、当時の国際情勢(ソ連の動向など)

といった視点が必要ではないかと思います。米国側では、原爆投下を正当化するために、早期終戦が実現しなかった場合に、連合軍による日本本土上陸作戦で極めて多数の死傷者が出ていたとか、ソ連の参戦により日本本土が占領されていた可能性がある、などという論調が根強くありますが、そうではない、という反論もあって、評価にはなかなか難しいものがあるでしょう。少なくとも、日本国の防衛大臣が、米国の肩を持って「しょうがなかった」などと安易に語るような簡単な問題ではないと思います。私自身は、上記の2も見逃すべきではなく、沖縄が占領され、制海権・制空権も失い、国外からの補給も不可能になったという状況下で、原爆投下、ソ連参戦後まで終戦の決断ができなかったという、日本側の戦争指導の失敗、ということも深刻であった、と考えています。
そろそろ、8月の原爆祈念日や終戦の日が迫ってきますが、私自身としては、選挙絡みで防衛大臣や安倍政権、自民党を攻撃するよりも、この問題を振り返り改めてよく考えてみる契機になれば、という気がしています。