治安悪化説に異論

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060925/mng_____kakushin000.shtml

くぼ・ひろし 1946年、東京生まれ。70年から東京都に勤める。都立教育研究所次長、大学管理本部調整担当部長などを経て2003年8月から05年3月まで警察庁出身の竹花豊・前副知事(現警察庁生活安全局長)の下で治安対策担当部長(東京都緊急治安対策本部副本部長)。近著「治安はほんとうに悪化しているのか」(公人社)で、流布される「治安悪化説」や道徳・倫理への公権力の介入に疑義を唱えた。

私自身の感覚、認識としては、治安状況が以前よりも悪くなっていることは事実だと思います。問題なのは、治安対策、テロ対策の名の下に、我々が築き上げてきた、また、これからも築き上げようとしている自由で民主的な社会というものが大きく損なわれる危険があるということでしょう。街を歩けば監視カメラだらけ、一般市民が警察に代わって犯罪が起きないかどうかを監視、犯罪が起きれば周辺者は「幇助罪」で検挙されるのでその恐怖から日々萎縮して生活、パソコンも携帯も自由には使えない(どこかの寒い国と同様に)、といった方向で進んで行ってよいのか、ということは、今後も考えて行く必要があると思います。