ネット心中について

新任判事補のブログ

http://plaza.rakuten.co.jp/droppy/diary/200410130000/

で、

他方で、集団自殺を犯罪として扱うのであれば、ネット上で、集団自殺情報を発見した段階で、「犯罪があると思料するとき」に辺り得ますから、これを基に、捜査できることになるのかもしれません。
従って、プロバイダー側に任意提出を求めるなり、捜索差押をかける、という方法もできなくはないことになります。
このような手段の適否、また、通信の秘密関係については、今ここで触れられるほど勉強が進んでいませんので、これくらいにしておきたいと思いますが、集団自殺を犯罪とすれば、このような捜査が理論的には可能になります。どの段階で実行の着手があったとするか、とか、将来犯罪のための捜査ができるか、という議論もあり得るでしょう。

とあったので、若干、コメントを。
確かに、「犯罪」として取り扱うことができて、令状が出るようであれば、警察としても、プロバイダ等から情報が取れるわけです。
この点について、テレコムサービス協会の、「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン

http://www.telesa.or.jp/010guideline/guide_2nd/guide2003.htm

では、

強制捜査への対応)
第17条   事業者は、捜査当局から差押、捜索又は検証に関する令状又は傍受令状の提示を受けた場合、令状の記載事項等を確認のうえ、必要に応じて立ち会い、押収物があるときは、押収目録の交付を受け、傍受の立会人となった場合においては、傍受の原記録である記録媒体の封印を行うものとする。
(任意捜査その他の照会への対応)
第18条   事業者は、警察官、検察官、検察事務官国税職員、麻薬取締官弁護士会、裁判所等の法律上照会権限を有する者から照会を受けた場合であっても、緊急避難または正当防衛の場合を除き、以下に掲げる通信の秘密に属する事項等を開示してはならない。
    (1) 通信の存在及び内容
    (2) 通信当事者の氏名、住所または居所
    (3) 通信当事者の電話番号、FAX番号、メール・アドレス等の通信ID
    (4) 通信日時
  2. 事業者は、前項各号のいずれにも該当しない情報を開示する場合において、照会者に対し書面の呈示を求めるものとし、記載事項等を確認のうえ、照会に対して必要と認められる範囲内で協力することができる。
  3. 前各項にかかわらず、プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報開示の請求を受けた場合においては、次条に定めるとおりとする。

とされていて、書いてあるとおり、令状によらない場合は、「緊急避難または正当防衛の場合を除き、以下に掲げる通信の秘密に属する事項等を開示してはならない。」とされています。
令状がないと、警察としては、非常に情報がとりにくくなってしまいます。警察(警察庁)としては、上記の「緊急避難」について、できるだけプロバイダ等が弾力的(柔軟?)に認定して、無令状での情報開示に応じてほしいというのが本音だと思いますが、テレサ協のガイドラインをみてもらえばわかるように、プロバイダ等は、電気通信事業法だけでなく、来春施行の個人情報保護法との関係もあって、情報開示には極めて慎重なので、なかなか警察の望む方向には進まない、というのが現状です。