Googleグループ「ダダ漏れ問題」 ユーザーがいますぐチェックすべきこと

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130710-00000562-bengocom-soci

Googleグループはたしかに便利なツールだが、このような情報漏洩を起こさないために、いますぐチェックすべき点とはなんだろうか。

Googleグループが初期状態で「一般公開」される設定になっている点や、そのことに気づきにくいといえる点は、はたして問題ないのだろうか。インターネットのセキュリティ問題にくわしい落合洋司弁護士は、次のようにコメントしている。

落合洋司弁護士のコメント

Google利用規約は《ユーザーは、本サービスを利用することにより、本規約に同意することになります》としています。つまり、Googleグループを利用する際には、この利用規約が適用されることになります。
その利用規約では、《Google は、本サービス内のコンテンツ、本サービスの特定の機能、その信頼性、利用可能性、またはユーザーのニーズに応える能力について、何らの約束もしません。本サービスは『現状有姿で』提供されます》としています。
この『現状有姿』というのは、現在あるがままの姿でという意味です。つまり利用者は、サービスがそういった状態にあることを理解した上で使い、Googleグループにおける公開、非公開の設定も、自らの判断で行う必要があります。
つまり、もともとの設定がわかりにくかったからからといって、Googleの法的責任を追及することは難しいでしょう。もちろん、Googleが、よりわかりやすく使いやすいサービスを利用者に提供すべきということは言えると思いますが、それは法的責任とは別の話になります。
便利なサービスであっても、サービスの内容、特性への理解が十分ではないまま利用することで思わぬ事態を招くことがあります。特に、公開すべきでない情報をネット上で取り扱うような場合は細心の注意が必要でしょう」

ログインして使うサービスで、情報が不特定多数に公開されてしまっていないかどうか確認する方法として、一旦ログアウトしてみて、「第三者」として閲覧してみる、という方法がありますね。公開を制限する設定をした後、そういう方法で確認、検証してみると良いのではないかと思います。
先ほど、ニュースを見ていると、情報セキュリティの専門家、という人がコメントしていて、重要な情報を無料のサービスで取り扱わないほうがよい、と言っていましたが、私は、それはちょっと違うのではないかと思います。無料だからいけない、のではなく、情報の重要度に応じ、何らかのサービスを介して取り扱うにあたり、許容できるリスク、許容できないリスクといったものはあって、許容できないリスクがあるのに利用してしまう、それはいけない、ということでしょう。無料のサービスだから、常に許容できないリスクがある、というものでもなく、ケースバイケースで検討する必要がありますし、組織の情報セキュリティポリシーがあればそれにしたがうべき、ということにもなってくると思われます。無料だから駄目、というのであれば、グーグルのサービスは基本的に無料ですから、グーグルのサービスを利用してはいけない、ということになりかねないでしょう。それは違うと思います。
サービスを利用するにあたっては、自己責任が求められざるを得ませんから、サービスをよく見て、必要に応じ練習もして、慎重に使うべき、というのが、今回の騒動から引き出される教訓でしょうか。

2013年07月10日のツイート

CGの児童ポルノを初摘発=写真参考に模写、販売容疑―デザイン業の男逮捕・警視庁

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jiji-11X485/1.htm

同法は児童の裸体や性交場面の写真などを児童ポルノと規定。同法をめぐる国会審議などから、同課は実在する児童の写真を精密に模写した今回のCGは、児童ポルノに該当すると判断した。

容疑者は「かつての少女モデルを精緻に描写」などと宣伝。1980〜90年代の少女写真集などを参考に、写真そっくりのCGを描いていた。

電脳空間における刑事的規制

電脳空間における刑事的規制

によれば(この本は、この分野につきいろいろな考え方を知る上で参考になる良書です)、

「絵」であっても、実在の児童の姿態を描写したものについては、「その他の物」に該当するとされている。確かに、想像の産物としてではなく、実在の児童が実際に性的搾取・虐待を受けている場面を描写するために、写真等で撮影する代わりに「絵」に描いたに過ぎないとすれば、このような「絵」を、写真等と同等に扱うことは妥当であろう。
(196、197ページ)

とされ、引用資料から見ると、立法担当者はそのような考え方であったようであり、複数の支持者もいるようです。警察は、おそらく、この考え方に立って立件したのでしょう。
ただ、上記の本では、同時に、上記のような「絵」(CGも含むでしょう)と、実在の児童をモデルにしているものの性的搾取・虐待については想像に過ぎないものや全くの想像の産物との区別が困難である、という見解も紹介されていて(197ページ)、非実在の児童に関するものを児童ポルノに含めていない現行法制の下で、どこで線を引くかについては微妙さがあるように思われます。
実在する児童に依拠していれば絵やCGでも児童ポルノである、という考え方が強くなればなるほど、実質的に非実在のそれの取締りに近づくことは避けられず、今後の法改正の流れにおいても、本件は、1つの注目すべきケースになるように思われます。