<過払い金返還>逮捕の組長ら、弁護士に顧客300人紹介

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110913-00000011-mai-soci

容疑者らはチラシなどで貸金業者に過払い金を抱えている人たちを募集。依頼を取りまとめ、弁護士に仕事を紹介していた。

容疑者らの逮捕容疑は09年4〜10月、弁護士資格がないにもかかわらず、弁護士に顧客を紹介するなどの弁護士事務を取り扱ったとしている。

弁護士法72条では、

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

とされ、違反すると、2年以下の懲役または300万円以下の罰金を科されます(弁護士法77条)。上記の記事にあるような行為は、業とした法律事務の取り扱いや周旋にあたるものです。照会を受けた側の弁護士も、共犯(通常は共同正犯でしょう)として立件されることが多く、過去にも立件例はいくつもあります。弁護士や弁護士法人ではない者が、こういった介入を行うことで、無資格者による法律事務の取り扱いが横行することを防止するための規定とされています。
弁護士の数がますます増える中、仕事がない弁護士も増えていますから、違法であることを承知の上で、こういった紹介を受ける弁護士は、今後、増えることはあっても減ることはないでしょう。
ただ、従来、禁圧されていたこの種の「紹介ビジネス」については、暴力団が関与するといった弊害を排除したうえで、合理的に運営できるようなものであれば、弁護士法72条の例外(「この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」に該当するものとして)として、やってみる余地はあるのではないかと思います。弁護士を必要とする需要と、弁護士側の供給をマッチングさせる必要性が高まる中、単に取り締まるだけでなく、そういった柔軟な発想、制度化も検討する必要があるでしょう。

2011年09月12日のツイート

供述場所からバッグや財布発見 別府秘湯殺人事件

http://www.asahi.com/national/update/0913/SEB201109130004.html

容疑者は死体遺棄容疑を認め、被害者の所持品を捨てたと供述。県警は12日、容疑者を立ち会わせて捜索し、供述通りの場所からブランド品のバッグや財布を発見した。事件当時、現場からは被害者のバッグや財布、携帯電話や車のかぎなど貴重品が無くなっていた。

冤罪事件などが問題になる中、客観証拠、物証重視ということが強調されるあまり、自白の重要性が軽視されがちな傾向がありますが、上記のような事件では、被疑者が自白しない限り、被害者の所持品投棄場所は永遠にわからないでしょう。これが、被害者の遺体であったのが、有名な誘拐事件の吉展ちゃん事件で、自白がなければ、遺体の隠匿場所(寺にある墓の中)は永遠にわからず、遺族の下に遺体が戻ることも、事件が全面的に解決されることもありませんでした。
取調べについて、私自身も過去に教育を受け、また、自分自身もいろいろと学ぶ際に、犯人しか知り得ない、決定的な供述を引き出すような取調べができるようにならなければならず、そのために、日夜、自分自身を鍛えなければならないと思っていたものでしたが、そういった意味での取調べの重要性は、取調べに関する制度が変わっても、低下することはないでしょう。そういったことを、上記の記事を読み、昔のことも思い出しながら考えていました。