福島県汚職1審破棄、佐藤前知事に改めて有罪判決

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091014-OYT1T00666.htm

栄佐久被告は祐二被告と共謀し、県発注のダム工事で、準大手ゼネコン「前田建設工業」などの共同企業体が受注できるよう便宜を図った見返りに、2002年8〜9月、祐二被告経営の紳士服会社の土地(時価8億円)を、下請けの中堅ゼネコン「水谷建設」に約9億7372万円で買い取らせ、差額の約1億7372万円をワイロとして受け取ったとして起訴された。

この日の判決は、土地の時価を8億円とした検察側の主張について「売買代金との差額は証拠上不明。栄佐久被告には、差額をワイロとして受け取る認識もなかった」として、残る約7372万円もワイロではないと判断し、検察側が求めた追徴金も認めなかった。ただ、1審同様、土地を買い取った行為が利益をもたらしているとしてワイロと認定した。

「換金の利益」なるものが賄賂、というのは耳慣れない話ですが、結局、検察ストーリーのかなりの部分が否定され、辛うじてその限度で何とか引っかけて有罪、という、東京地検特捜部が総力を挙げて捜査、起訴した事件としては惨めな結果になってしまった、ということでしょうね。
この事件は、本ブログでも、かつて

収賄「自白強要された」 福島前知事、無罪主張へ
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070125#1169690943
福島の事件について
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061030#1162137107
捜査の入口と出口
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061015#1160873988

とコメントしたことがありますが、無理に無理を重ねた無理筋の事件であったということが、高裁判決によって、ますます明確になったということは、確実に言えるように思います。
今後、上告審で審理される中で、有罪で引っかけられた部分がどこまで維持されるかということにも、予断を許さないものがあるように感じます。

路線転換のウィンドウズ7 機能より軽快さ 22日発売

http://www.asahi.com/business/update/1015/TKY200910150491.html
http://www.asahi.com/business/update/1015/TKY200910150491_01.html

マイクロソフトがまずアピールするのが、セブンの作動スピードの速さだ。起動時間は前作のビスタの40秒から29秒に短縮。インターネットの閲覧ソフトが立ち上がるまでの時間もビスタのほぼ半分だ。常時作動するプログラムを減らすことで、インターネットやメールなど複数のソフトを同時に立ち上げて作業しても、あまり速さは落ちない。
07年1月に発売されたビスタは、ネット経由のコンピューターウイルスが問題化したことを背景に、セキュリティー機能を強化。その分、パソコンに高速CPU(中央演算処理装置)や大容量のメモリーが必要で、起動に時間がかかった。このため、不評を招き、ビスタは期待ほど普及しなかった。

詐欺で、うまいことを言って金を騙し取った後に、元の詐欺師と裏でつながっている別の詐欺師が「金を回収してやる」などと言葉巧みに再び騙し、回収手数料などと称してさらに金を騙し取るという手口がありますが、上記の記事にあるマイクロソフトの説明を読んでいると、そういう詐欺のことが頭に浮かびました。
再び出来損ないのポンコツOSを売りつけられないように、ウィンドウズ7については、慎重によく見極めた上で、購入するかどうかを決める必要があると私は考えています。

「静かすぎて危険な車」人工音義務づけ案

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091015-00001407-yom-soci

自動車メーカーによると開発には2年ほどかかるといい、実施は先になりそうだ。
義務化の対象となるのは、低速走行中や発進時にモーターだけで走ることができるハイブリッド車などの新車。時速20キロまでの低速走行時に、エンジン音や排気音などを想像させる音を発するようにする。音量は一般の車と同レベルを想定している。
一方、すでに販売されている車にも義務づけるかどうかは、話し合いを続ける。

先日、事務所のそばを歩いていると、発進したばかりと思われるクラウンハイブリッドが、正に「音もなく」という感じでそばを通り過ぎ、ぎょっとするとともに、これは危険だな、と実感しました。
猫が首に鈴をつけられているように、車の前面に鈴でもつけておけば、鈴の音でハイブリッドカーとわかり、わざわざお金をかけて2年も開発する必要もなく簡便で、既存の車両にもすぐに取り付けられるでしょう。
開発までの2年の間、危険な状態のまま放置しておくべきではないと感じます。

5年前に死刑執行、実は無実?…米テキサス

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000132-yom-int

処刑された元自動車修理工のキャメロン・ウィリンガム死刑囚は1991年、夫婦げんかの末に自宅に放火し、屋内にいた幼い娘3人を殺害したとして訴追された。裁判で無実を主張したが、2003年に死刑が確定。04年2月に薬物注射で刑が執行された。
ところが、04年末に「シカゴ・トリビューン」紙が捜査の誤りを指摘する記事を掲載。これを受け、捜査を再検証する特別委員会が設置された。委員会の委託を受けた放火犯罪専門家は今年8月、「放火と断定する科学的根拠はなかった」と指摘し、ストーブからの失火などの可能性もあったとする報告書をまとめた。

死刑廃止論の有力な論拠の1つが、誤判の際に取り返しがつかない事態が生じてしまう、ということですが、上記の記事を読むと、そのことが痛切に感じられます。
日本でも、民主党政権の下、今後、死刑存廃問題が本格的に議論される可能性が高いと思われますが、日本だけでなく、諸外国におけるこういった実態も、今後、十分に調査、検討される必要があるでしょう。
法務省は、取調べの可視化に関する勉強会を今頃になって立ち上げているように、自分たちが好まない政策については調査、検討しない、勉強もしないという傾向があるようですが、エリート面をしている余裕があれば、死刑存廃問題についても徹底した調査、検討を行っておくべきではないかと思います。

ペルー人被告、二審へ差し戻し=供述調書不採用は「適法」−広島女児殺害・最高裁

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2009101600616

二審広島高裁は、一審が調書を取り調べなかった点について、「争点が不明確なまま公判前整理手続きを終え、審理を尽くさず違法」と判断。上告審では整理手続きのあり方が争点になっていた。
同小法廷は、公判前整理手続きが導入され、連日開廷が原則とされた刑事裁判について、「合理的期間内に審理を終えることが強く求められる一方、検察官や弁護人の主張を踏まえ、真相解明のための立証が的確になされるようにする必要がある」と述べ、裁判の『当事者主義』を前提に、迅速な審理と真相究明の両立を図るべきだとした。
その上で、二審が「調書を採用していれば犯行現場が特定できた可能性があった」としたことに関し、当事者の検察官が現場特定に調書が必要と主張しなかった以上、不採用に違法性はないと判断した。

最高裁のサイトに判決全文がアップされていたので読んでみましたが、

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091016161805.pdf

従来の実務感覚に照らすと、被告人の捜査段階の供述調書が存在する以上、その任意性をきちんと判断し、採用した後も、その信用性について慎重に評価を加えた上で、犯行場所はどこかという、事件の基本的な問題について正面から判断すべきであり、それがされていないまま、高裁に量刑不当の有無を判断しろはないだろう、という高裁の判断もわからなくはないな、という気がしました。
ただ、立証について、まず責任を持つべき検察官が、問題となった供述調書により犯行場所を立証しようという確固とした立証計画、立証意図を持っていなかったことは、経緯から見て明らかで、それにもかかわらず検察官がこだわっていなかった点までこだわってしまうというのは、やや職権的過ぎるという印象は受けるものがありました。特に、裁判員制度、公判前整理手続ということになれば、検察官が従来にはない柔軟な対応をする、という場面も多々出てくるはずですから、そこに、高裁が職権的に介入するということが次々と起きてくれば、制度の趣旨が没却されてしまうことになりかねないでしょう。
私自身の感覚としては、原審の広島高裁のそれに親近感を感じるものもありますが、そういう感覚では裁判員裁判、公判前整理手続は成り立たないよ、という、最高裁による教育的(?)判決という側面があるのかもしれません。

追記:

判例時報2061号148頁