ブログを振り返って(1)(2004年)

本ブログの最初のエントリーは、2004年6月30日の

Winny事件を契機に情報処理技術の発展と社会的利益について考えるワークショップ
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040630 - p1

でした。
ブログを始めた動機について、よく聞かれますが、特に何かを目的としていたわけではなく、周囲でブログを始める人が徐々に増え、自分としても、日々起きたことや考えたことなどを書き留めておくのも悪くない、と思い、至って気軽な気持ちで始めたものでした。現在までに3年余り続いたことになりますが、ここまで続いたことに最も驚いているのは自分自身です。
最初のエントリーが、その後、刑事公判を傍聴したり、本ブログで関連する様々なエントリーをアップすることになったウイニーの問題に関するものであったことに、因縁めいたものを感じます。
以前に、

ブログを続けるためには
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050515 - 1116086886

とコメントしたことがありますが、「続ける」という意味では、そこにあげた中の

1 続けられるスタイルにする(取り上げるテーマ、書くスタンス等々)

が最も重要ではないかと思います。無理して続けることもないと思いますが、継続して書きためていると、自分自身の考え方の流れを振り返ったり、自分自身が手がける仕事等に関連するエントリーを後日参照できたりして、かなり役に立つ場合も出てきますから、やる以上は、継続できるように工夫したほうが良いのではないかと思います。
日々の積み重ねは、ごくわずかずつであっても、集積すればかなりのものになります。私にとって、本ブログは、今や貴重な財産となっている、と言っても過言ではない状況です。

組員発砲 組長も責任 法改正へ、罰金刑で資金封じ

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/m20070728008.html
ボツネタ経由。

一方、拳銃の発射は行為者について「無期または3年以上の有期懲役」と規定されているが、両罰規定は設けられていない。このため発射についても使用者責任の追及に向け、罰金刑による両罰規定を新設する方針を固めた。
また、営利目的の輸入や譲渡には有期懲役刑のほか、行為者に罰金刑の併科(輸入=1000万円以下、譲渡=500万円以下)が規定されている。だが、発射や所持には併科の規定はないことから、発射については同様に罰金刑を併科。現行では「1年以上10年以下」の懲役刑のみとなっている所持については、懲役刑を引き上げる方向で検討を進めている。

「厳罰化」というのは、犯罪抑止策としてはわかりやすく、また、上記のような悪質の行為を厳罰に処さない理由もありませんが、そういった措置が真に実効性を持つかどうかは、理屈の問題と言うよりは、実務的な問題でしょう。
気になるのは、上記のような改正が行われることで、組長等に責任が及ばないようにしつつ「暴力」を行使するため、組織内で、暴力行使に及ぶ部隊を非公然化したり、あるいは、アウトソーシングして外国人に依頼する(犯人は犯行後国外へ逃亡する)といった方向へ進み、犯罪抑止の効果が出ることなく、むしろ、地下に潜行して行くことです。
組織犯罪対策が世界的に協調して行われる中で(そのこと自体は間違っていませんが)、犯罪組織の成り立ち、性格等は、国によって様々であり、世界共通で進めるべき部分と、各国の実情に即して進めるべき部分の切り分けが必要ではないか、と私は考えていますが、最近の日本における対策は、厳罰一辺倒という傾向が強く、実効性という点がどうしても気になります。

『海賊版』の広告禁止検討 文化庁 ネット競売阻止狙う

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007072702036316.html

現行法では、海賊版のネットオークションへの出品自体は販売や所持とは違って「広告の掲載」と見なされ合法とされている。また、出品者が住所や氏名を明らかにしていないケースが多く、著作権団体などが警告したり、訴訟を起こすことが困難だった。
海賊版広告を違法と規定すれば、プロバイダー責任法に基づき情報開示請求で出品者を特定したり、広告削除の要請ができるようになるほか、損害賠償請求など民事的措置も可能になる。

プロバイダ責任制限法上、発信者情報開示が請求できるのは「情報の流通による」権利侵害がある場合なので、上記のように、販売の準備である「広告」の段階では、「情報の流通による権利侵害」が、いまだ存在しないのではないか、という考え方が一般的でしょう。
実務的には、広告の後に販売に至っているのが通例で、広告だけで終わっている、という事例が問題にされることはほとんどないと言えますが、権利者は、従来、法的措置のために、身元を隠して買い受け海賊版を確保する、といった作業をしており、上記のような改正が行われれば、法的措置を講じる上で利便性が高まる、ということは言えると思います。
ただ、そうなっても、「海賊版を販売するため広告している」ことは立証する必要があり、単なる「疑い」だけでは動けないことに変わりはありません。
利便性は高まるものの、何かが画期的に変わり、前進するほどではないだろう、と思います。