硫黄島からの手紙:映画公開 遺族らの沈黙、代弁

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/cinema/news/20061209k0000e040069000c.html

「大叔父の『諸子の先頭にあり』とのせりふが印象的でした。だれもが責任をとろうとせず、人の命を粗末にする今の日本社会について、改めて考えさせてくれた」と語った。

映画の中で、栗林兵団長が、何度か「余は常に諸子の先頭にあり」と叫ぶシーンがありますが(言うだけでなく実際に先頭に立って戦っていました)、私にとっても印象的でした。日本海軍では、「指揮官先頭、率先垂範」ということが言われたようですが、こういったことは、どのような組織にも通じることでしょう。自分は後方の安全な場所に身を置いて、自分ではできもしないことをつべこべと言う人間が、あらゆる組織においてあまりにも多すぎるのが現状です。

渡辺謙、満席に感無量「硫黄島からの手紙」初日
http://www.sponichi.co.jp/osaka/ente/200612/10/ente200465.html

「正しい和食」認証制度に米メディア猛反発

http://www.sankei.co.jp/seikatsu/shoku/061210/shk061210000.htm

農水省は認証制度の検討について「食材や調理法が本来の日本食とかけ離れた料理を提供している日本食レストランが増えているため」と説明。

農水省が、わざわざやるほどのことではないと思いますが、敢えて必要性を考えてみると、日本人が海外へ行った際に、こういった認証を受けている店を探して和食を食べに行く、ということができれば便利かもしれません。また、そのような認証を受けている店へ行けば、伝統を継承した和食が食べられる、ということになれば、外国人にとっても利点はあるような気がします。
ただ、認証というものが、認証されないものを排除するようなものであるべきではないでしょう。記事で紹介されている反発は、この制度に排除の論理を感じてのことではないか、という印象を受けました。

談合摘発は最多の38件 警察庁、今年まとめ

http://www.asahi.com/national/update/1207/TKY200612070358.html

同庁の漆間巌長官は7日の記者会見で、「入札妨害の背後には贈収賄が隠れていることが多い。国民が不正を問題視しており、様々な罪名を使って切り込むことが大切だ」と述べた。

談合や競売入札妨害は、関係者も多く、利益を得られなかった者に恨みつらみが残りやすいという面があり、捜査機関が端緒を得やすい側面があると言えるでしょう。また、従来は、情報提供により談合組織から排除され干上がってしまう、ということを恐れ情報提供を渋っていた人々が、そういった手法自体に先がないと見て、積極的に情報提供してくる、という流れも出てきているように思います(独禁法改正による課徴金減免制度もそのような動きを後押しすることになるでしょう)。
警察庁長官が指摘するように、談合、競売入札妨害事件を「入口」にすることで、「出口」の贈収賄事件に到達するチャンスが生まれると言え、また、仮に出口にまで到達できなくても、入口事件だけでもやった意味がある以上、今後とも、警察も、検察庁に負けることなく積極的に取り組むべき分野と言えるでしょう。
特に、東京、大阪などの大都会以外の地域では、地元に密着した警察のほうが、特に上記のような分野においては検察庁よりも情報は得やすく、端緒をつかみやすい、ということが言えると思います。

北島孝久・元東京地検特捜部副部長の記事

今日の朝日新聞朝刊(14版)第2社会面に、「迷い絶ち、弁護士転身」という見出しで、元東京地検特捜部副部長の北島孝久氏を紹介する記事が掲載されていました。
退官の事情については、ライブドア事件を巡り、いろいろと取り沙汰されていましたが、記事では「そういうタイミングだった。」というコメントがあるだけで、それ以上は何も語られていませんでした。
私は、北島氏と面識はありませんが、以前、検察庁内の研修の際に講師で来られた同氏のお話は聞いたことがあり、無駄がなく、わかりやすい講義であったことが思い出されます。私のような、取るに足りない検事が退職するのとは違い、北島氏を失った法務・検察の損失には多大なものがあるでしょう。
私のような者が途中でドロップアウトしてしまうのは必然的なことでしたが、北島氏のような極めて優秀で将来を嘱望された方であっても最後まで勤め上げることができなかったということに、複雑な思いを禁じ得ませんでした。人の世を生きるというのは、やはり難しいものです。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050831#1125451285

で述べた自分自身の寂しい姿が(今でも寂しさをかみ締めながら生きていますが)、改めて思い出されました。
とはいえ、検事から弁護士になれば、いろいろな環境も変わりますから、北島氏には、健康に留意され、法曹としてさらにご活躍いただきたいと思います。

「4人は宝」と遺族が訴え 一家殺害6年で追悼集会

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=main&NWID=2006121001000188

良行さんは「うちには何のお宝もない。ただ4人がうちの宝だった。これ以上の宝はなかった。それがこの事件で奪われてしまった」と癒えない悲しみを吐露。「人の幸せを断りもなく奪う犯人は必ず逮捕され罰を受けるべきだ。4人に代わってお願いします」と訴えていた。

この様子は、テレビのニュースで見ましたが、捜査官でない私の胸にも迫るものがありました。「お願いします」と言うときに、言葉を詰まらせながら、立ち上がって深々とお辞儀をしていました。何の非もないこの方のこの気持ちに報いるには、犯人を検挙するしかないでしょう。
毎年、年末が近付くと、犯人が未検挙で捜査陣が検挙を誓って、といったニュースが流れますが、警察も、痴漢冤罪事件を引き起こしたり、ビラ配りをしていた人を建造物侵入で捕まえたりしている暇があったら、早くこの事件の犯人を検挙し、亡くなった4人の墓前やご遺族に報告に行ってほしいものだと思います。