スケート連盟元会長ら3人、背任容疑で逮捕

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20061003AT1G0303Q03102006.html

取引先に水増し請求をさせて同連盟に約580万円の損害を与えた

背任罪が適用されていますが、支出行為自体を、権限濫用行為ととらえているのでしょう。
連盟内部の、支払決定権がない者が、取引先と結託して、このような行為に及べば、取引先と共犯関係に立つ、連盟に対する詐欺、という構成も考えられます。
この種事案で、横領なのか、背任なのか、あるいは詐欺なのか、といった悩み方をするものは、よくあります。知能犯で、成立する犯罪の見方を誤ると、調書の取り方や証拠の集め方がかなり違ってきますから、捜査機関は、相当慎重に検討するものです。

大林組本店を捜索へ 和歌山トンネル談合主導か

http://www.asahi.com/national/update/1004/OSK200610030069.html

特捜部は先月20日以降、同県庁知事室や、ハザマが受注後に5900万円を支払ったとされる大阪府河内長野市のゴルフ場経営会社元代表(55)宅などを談合容疑で捜索。大林組側から受注業者に指名されたハザマ側が受注を確実なものにするため、同県の公共工事に影響力を持っていたとされる元代表に資金提供したとみて、関係者の事情聴取を進めている。

構図としては、東京地検特捜部が捜査を進めている福島の事件と似ているようです。大阪地検特捜部も、知事室まで捜索の対象にしており、並々ならぬ決意を感じさせるものがあります。今後の進展によっては、福島以上の大きな事件になる可能性を感じさせます。

証言拒絶:記者に証言拒絶権 最高裁初判断 抗告を棄却

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20061004k0000m040078000c.html

決定はまず、記者の取材源は、民事訴訟法で証言が拒める「職業の秘密」に当たると指摘。ただし「職業の秘密に当たる場合でも、保護に値する秘密にのみ証言拒絶は認められる」として、保護に値するかどうかは、秘密の公表で生じる不利益と、証言拒絶で犠牲になる裁判の公正との比較で決めるべきだとの見解を示した。
これを踏まえ、報道について「国民の知る権利に奉仕するもので、事実報道の自由は、表現の自由を規定した憲法の保障下にあり、取材の自由も十分尊重に値するもの」とその意義に言及。取材源の秘密を「取材の自由の確保のために重要な社会的価値を有する」と位置づけた。
そのうえで(1)公共の利益に関する報道(2)取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れない(3)社会的意義や影響が大きい民事裁判で公正な裁判を実現する必要性が高く、証言が必要不可欠との事情がない−−などの場合、原則として証言を拒絶できるとの基準を提示。諸事情を比較しても、今回のケースは証言を拒絶できると結論付けた。

妥当な判断と思いますが、上記のように、取材源秘匿を「取材の自由の確保のために重要な社会的価値を有する」と位置づける場合、記者等に証言拒絶権を認めていない刑事訴訟法は妥当なのか、という問題が、改めて検討される必要があると感じます。
今回の最高裁決定を踏まえ、刑事訴訟法でも証言拒絶権を主張する、という動きが、今後、生じてくる可能性もあるでしょう。
無用な混乱が生じる前に、立法上の手当を講じておくべきかもしれません。

サイバー刑事法制研究会コミュニティ

情報ネットワーク法学会内で、サイバー刑事法制研究会主査代行を務めていますが、開店休業状態が続いていて、なかなか活動できないため、ミクシィ内で、「サイバー刑事法制研究会」コミュニティを立ち上げました。ミクシィを利用されている方は、検索していただければ、すぐに見つかるはずです。
当面、情報ネットワーク法学会の会員限定としますが(管理人の承認により参加できます)、今後、非会員でご希望の方がいる場合は、オブザーバーとしての参加も検討したいと考えています。
なお、情報ネットワーク法学会会員で、コミュニティに参加したいがミクシィを利用していない、という方は、私までメールでご連絡ください。