「ようこそ、2050年の東京へ 生き残る不動産廃墟になる不動産」

 

本書では、2050年という、かなり先の東京の姿を展望しつつ、長期の展望の中で不動産をどのように見ていくかが論じられています。かなりの部分は、不動産論というより未来論で、不動産論を期待して読んだ人には失望感を与えた可能性がありますが、私は、未来論に結構、興味があるほうなので、興味、関心を持ちつつ読み進めました。

未来のことは誰にも正確には分かりませんが、ただ眼前にあるものだけを見ていても、未来へとつながる正しい判断は得られません。その意味で、未来予測は重要ですが、結局は、自分なりの視点をしっかり持ちつつ見ていくしかなく、そのためにはバックグラウンドを分厚くしておくことも必要だと思います。さりげない情報であっても、ただ単に読み流す、聞き流すのではなく、問題意識を持ちつつ見て聞くことで、そこからより正しい見方も生まれてくるでしょう。

そういう意味で、読んでおいて良かったと思える1冊でした。