半藤一利の遺言 戦争と平和、そして「わが越後」

 

惜しくも亡くなった半藤一利氏が、アジア・太平洋戦争末期から、父親の郷里の越後長岡に住んで学んでいた時期があるのは、同氏の著書でも繰り返し語られていますが、本書は、同氏に取材してきた地元の新潟日報が、インタビュー結果を取りまとめたものです。昨年、越後長岡の山本五十六記念館に久しぶりに見学に行った際に買い求め、最近になって通読しました。

越後長岡在住当時の思い出話は、私が初めて読むものもあって、半藤氏を懐かしく思い出しつつ読みました。

半藤氏は、物心ついた後に戦争経験のある歴史家の、最後に位置する存在だったように思います。そういった人々がことごとく鬼籍に入り、戦争を実体験としては知らない人ばかりになった後に、いかに戦争経験を継承していくかは重要な課題でしょう。やはり書き残されたものを地道に、丹念に読んでいくことが、戦争経験の継承につながるように思います。そのことを、本書を読んで改めて感じました。