「テキヤの掟」

 

暴力団と言われるものの中には、歴史的経緯から、博徒系、愚連隊系、テキヤ系がありますが、私自身、検察庁在籍当時に取り調べたり公判に立ち会ったのは、博徒系、愚連隊系の組関係者がほとんどで、テキヤ系は、たまに、覚醒剤を取り扱っていて事件になっていることがある、という程度であった印象があります。他の2者とは毛色の異なる人々、という印象が今でもあります。

そういう中で、たまたま本書の存在を知って読んでみました。

著者は、テキヤ関係者にインタビューして、その活動実態を具体的に紹介しており、私自身も、そうだったのかと思うような、未知のことも結構あって、そういう意味ではなかなかおもしろい内容でした。基本的に、お祭りなどに出店する商売人であり、ただ、商売上の都合もあって博徒系、愚連隊系との付き合いもあり、また、伝統的な組織の在り方が他の2者と共通性があって、そういった実態から、反社会的集団と位置付けられているのでしょう。そこは、著者も指摘するように、反社会性を払拭して、純粋に商売人の集団になっていくことが今後の課題だろうと私も感じるものがありました。