「聖の青春」

 

惜しくも早逝したプロ棋士村山聖氏の評伝ですが、長く、読みたいと思いつつ読めずにいたのを、最近になってやっと読めました。今まで、幾多の評伝を読んできましたが、その中でもトップ3に入る、もしかしたらトップかもしれない、実に良い内容で、感銘、感動が強く残りました。

村山氏が生まれ育ったのは広島県府中町ですが、私が生まれ育ったのはその隣の海田町で、本書に出てくる様々な風景は、私にとって身近なもので、また、村山氏は私より少し若い程度で同世代でもあり、同時期にごく近くで生活していたことにもなって、読み進めるにつれ引き込まれるものを強く感じました。

村山氏の、健康に問題を抱えつつも名人を目指し、ひたむきに将棋に打ち込んでいく、その姿には壮絶なもの、清々しさを感じましたし、両親、師匠、棋士仲間など、周囲の様々な人々が、村山氏のことを気にかけ親切に接してくれていた、その姿にも感銘を覚えました。

早逝は実に残念なものでしたが、周囲の人々にも恵まれ、大きな成果を残したその一生は、短いものではあっても実に意義のある、素晴らしいものであったと感じるものがあります。

今後、関連する本や映画にも接し、その素晴らしい生涯に、さらに触れていきたいと考えています。