http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013101700404
最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は17日までに、「鑑定結果から、弁護側の新証拠が奥西死刑囚の自白の信用性に影響を及ぼさないことは明らかだ」として、同死刑囚の特別抗告を棄却する決定をした。決定は16日付。請求から約11年半で、再審を認めないとした2012年5月の名古屋高裁決定が確定した。
感じた疑問は、高裁決定の段階で
名張毒ぶどう酒事件 奥西死刑囚の再審認めず
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120526#1338043041
とコメントした通りで、最高裁決定にも疑問が残ります。
そういった、証拠に関する議論だけでなく、本件のように、1審は無罪、再審決定が一旦は出る(その後取消されましたが)、といった、複数の裁判官が重大な疑問を持つような事件について、そのような、抱える重大な問題点や長年にわたる拘置などを総合的に見て、死刑判決は少なくとも相当ではないとして減刑する(恩赦の活用になろうかと思いますが)、仮釈放して元被告人が社会内にいながら再審請求を行える、といった運用、制度改革も、高度な政策的判断に基づいて検討されなければならないのではないか、という気がします。確かに、多くの犠牲者が出た凶悪な事件の犯人、という確定判決の判断を前提にすれば、そのようなことを行う余地などない、ということになりそうですが、人間の判断に絶対ということはあり得ない以上、抱える問題の重大性に応じた臨機応変の対応ということも考えられてしかるべきではないかと感じます。
現実問題として、元被告人側が「無罪」「無実」を立証しなければ、再審の扉が開かない、という、本件で露わにあった問題も、現状の刑事再審制度の抱える問題点として深刻に捉えるべきでしょう。