京アニ事件容疑者の勾留決定に準抗告 弁護人「必要性がない」 逃亡や証拠隠滅疑う相当性が焦点

京アニ事件容疑者の勾留決定に準抗告 弁護人「必要性がない」 逃亡や証拠隠滅疑う相当性が焦点(京都新聞) - Yahoo!ニュース

刑事訴訟法では、勾留の要件として、証拠の隠滅や逃亡の疑いなどがある場合と定められている。府警によると、青葉容疑者は自力歩行はできず、食事や排せつの際は介助が必要な状態という。

 罪証隠滅の恐れ、逃亡の恐れは抽象的ではなく具体的に考えられる必要がありますが、本件では、事案があまりにも重大である上、報じられるところによれば周到に計画された犯行でもあり、そういった事情の中で(そういう被疑者である、ということも十分に考慮の上で)、罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れも考えられる必要があるでしょう。被疑者本人の身体が不自由でも、他人を介して、協力を得ての罪証隠滅、逃亡ということも、単なる抽象的な可能性を超えてあり得るという見方も十分に可能ではないかと思います。

また、逮捕、勾留には、将来の公判に備えて、被疑者、被告人の身柄を確保しておくという機能もあります。公判請求が確実という状況で、そのような必要性が大きいという面もあるでしょう。被疑者自体が自殺してしまう、そういう究極の罪証隠滅を防止するということも考慮する必要があります。被疑者がいなくなっては事件自体が終わってしまう、語れる人がいなくなってしまう、それは、身柄を拘束して自白を強要するといった「人質司法」とは別の側面の事柄だと思います。

勾留場所である大阪拘置所では、被疑者に対応できる設備、体制を取っているとのことであり、24時間体制でケアできる、そういう状況は、被疑者にとってもメリットがあります。

単に、刑訴法の教科書を読んでいるだけでは結論が出ない、高度な応用問題、という側面が、この事件の身柄についてはあるように感じます。