最近、たまたま存在を知って読むようになり、半分くらい読んだのですが、著者の、オウム真理教、教祖や信者に対する見方が、私自身(平成7年、8年当時に東京地検公安部に所属してオウム真理教捜査に従事)と重なり共感を覚える部分が結構ある印象を受けています。
オウム真理教が勢力を拡大した昭和の終わりから平成の初めにかけての頃は、世紀末を前にして、物質文明への懐疑や精神世界への憧れが、若者を中心に広がっていた状況で、そういう中で、教祖であった松本(麻原)が、巧みな人心掌握術やヨガのスキルを最大限に活用して信者を獲得していった、そのプロセスへの分析、洞察にも納得できるものを感じました。
オウム真理教を知らない人々もかなり増えてきた今、読みやすく参考になる一冊だと思います。