ゴーン前会長の保釈、また却下 証拠隠滅の恐れと判断か

ゴーン前会長の保釈、また却下 証拠隠滅の恐れと判断か(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

弁護人は1回目の保釈請求で、保釈後の住まいをフランスにするなどの条件を提示したが、18日の2回目の請求では都内の住まいとしたとみられる。米国にいる前会長の報道担当者は、前会長の家族がすでに東京に住居を確保したことを明かしていた。
またゴーン前会長は21日、「日本にとどまり、裁判所が定めたあらゆる保釈条件を尊重する」との声明を発表。旅券の提出や、所在地が追跡できる電子機器付きの足輪の装着も提案していた。

おそらく、特に問題になっているのは特別背任事件で、被告人は否認、関係者は多数いて中には海外在住の者もいる、また、被告人の弁解から、支出が正当なものであったことについて様々な証拠作出の危険性、蓋然性もある(あくまで裁判所から見たものですが)といった、窺われる事情に照らすと、現時点では保釈できない罪証隠滅の恐れがあると見るのが、日本のスタンダードな令状実務でしょう。

 電子機器付きの足輪の装着、検察庁への定期的な出頭、自費での警備員による監視といっても、電子機器を管理する制度自体が現状の日本ではありませんし、保釈された被告人の行動をリアルタイムで監視できるものではなく、裁判所としては、ゴーン氏にそのように言われたから罪証隠滅の恐れはないですね、とはいかなかったものと推測され、令状実務を知る者としては、裁判所をけなして非難して終わり、と単純に割り切れないものがあります。

裁判所や検察庁を叩くだけでなく、そういう制度を持ってしまっていること、それが法令に基づいている以上、法令を変え制度も変えなければいけない、そこに目を向けて大きな視野で物事を見ることも重要と思います。