証言記録 マニラ市街戦 ~死者12万 焦土への一ヶ月~

昭和20年2月から3月にかけてのマニラ市街戦がどういうものであったか知りたく、これを観てみました。2007年にNHKで放映されたもので、丹念な取材が行われたことがうかがわれ、マニラ市街戦の実相のようなものが見えた気がして、大変参考になりました。
私なりにざっくりまとめると、甚大な被害、損害が出ることを予想しマニラを放棄しようとした日本陸軍に対し、マニラを根拠地として死守しようとした日本海軍が、陸戦の経験乏しい防衛隊で圧倒的に戦力で勝る米軍と激越な市街戦を展開することになり、降伏しないまま米軍の猛攻を受ける中、逃げ遅れた多数のマニラ市民が砲火の犠牲になり、抗日ゲリラと疑われて、あるいは崩壊した軍規の下での残虐行為により多数の無辜の市民も殺害されて、結局、約10万人の一般市民が犠牲になり美しかったマニラの街も廃墟と化した、ということでした。
番組では、一般市民の多大な犠牲を顧みることなく、早期のマニラ制圧を目指して猛烈な攻撃を加え続けた米軍の問題点も指摘され、日本軍だけが悪かったのではないという市民の声も紹介されていましたが、陸戦の専門家である陸軍の反対を敢えて押し切って勝てる見込みもないまま無謀な市街戦に突入した海軍の責任は大きく、取り返しのつかない大惨事を招いてしまったことが悔やまれました。
マニラ市街戦については、入手しやすい本もなかなか見当たらず、その中でこのDVDは傑出してわかりやすい資料になっていると思います。とても勉強になりました。