代用監獄認めず 大阪地裁堺支部「可視化なく、警察署で拘束必要ない」

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11684924.html

地裁堺支部の長瀬敬昭裁判長は同十日付の決定で、暴言の事実は認めなかった一方で「弁護人が問題を主張する南堺署で拘束し続ける捜査上の必要性はない。申し入れにもかかわらず、取り調べの録音・録画も全くされていない」と指摘。簡裁決定を取り消し、収容先を大阪拘置所に指定した。

従来、捜査中の身柄をどこに置くべきかについては諸説の対立があり、捜査の必要から代用監獄(新法では「代用刑事施設」と言うようですが、わかりやすいように、ここでは従来からの用語を使います)が原則とするもの、「代用」はあくまで例外であるとして拘置所が原則であるとするものがある中で、裁判所は、裁判所(裁判官)の合理的な裁量により決すべきだとする判断を示してきた経緯があります。捜査の必要とともに、代用監獄に身柄を置くことの弊害も併せ考慮されてきていて、例えば、警察官が被害にあったような事件では報復等の恐れがあることから捜査中から身柄を拘置所に置くといった判断がされることもありました。
本件も、そうした流れの中で位置づけられることになると思われますが、取調べの可視化が全面的ではないにせよ法制化される流れの中で、裁判所が、問題のある(その可能性があるものも含め)取調べについて、可視化がされていないことや不十分なことを、合理的裁量の中での重要な要素と位置づけつつあることを示すものではないかと思われ、この流れがさらに進むようであれば、取調べの可視化拡大を後押しすることへつながるかもしれません。今後の動きを注視する必要があると思います。