BS1スペシャル「憎しみとゆるし〜マニラ市街戦 その後〜」

https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20140829-11-14256

1945年、廃虚と化したマニラの街で娘の遺体を抱きしめ立ち尽くす男がいた。のちにフィリピン大統領となるキリノ。日米両軍が戦ったマニラ市街戦で妻と3人の子を失い、日本軍を激しく憎む。しかし8年後、キリノは大きな決断をする。憎しみからゆるしへ。反対を押し切って、日本人BC級戦犯全員に恩赦を与える。

先月末に放映されたものを録画していて、それをやっと観ることができました。この経緯は、前に、

フィリピンBC級戦犯裁判 (講談社選書メチエ)

フィリピンBC級戦犯裁判 (講談社選書メチエ)

を買って、少し読んだ際に紹介されていたのである程度知っていたのですが、映像とともに改めて観ると、家族をすぐ近くで日本兵によって残虐に殺害され(母を銃撃で失い泣いている2歳の娘も銃剣で何度も突き刺して刺殺)、戦後、自らの過酷な体験や許せないという気持ちと、フィリピン・日本の今後のために復讐を乗り越え許しを与えなければならないと思い悩む気持ちの中で揺れ動き葛藤するキリノ大統領の気持ちが強く察せられました。番組中で、キリノ大統領の心を動かしたという、亡き妻とともに日本の着物を着て撮影した、楽しそうな写真や、キリノ大統領が生前に手元に置いていたという、戦犯の助命、減刑を願う日本人から送られた人形が紹介されていて、こういったものを見ながら、キリノ大統領が迷い、逡巡していた、その決断までに至る心境を考えさせられました。
インタビューを受けた、家族を殺害されたフィリピン人が、許しはしたが忘れてはいない、忘れることはできないと、語る姿が印象的で、日本人は、過去の歴史にきちんと目を向け歪みなく認識するとともに、戦後日本が、キリノ大統領のような人々によって「生かされて」きたからこそ成り立って今ここにあるということも謙虚に受け止めなければならないだろうということを率直に感じました。
NHKオンデマンドでも観られるようですから、興味ある人は是非視聴してみてください。