「ANAのキャンセル料高すぎ」弁護士が提訴 旅割75で

http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/07/cancellation-fee-of-ana-is-too-high_n_5660201.html

弁護士は4月17日、羽田発佐賀行きの7月31日の航空券を、搭乗日75日前までなら大幅な割引価格で購入できる「旅割75」を利用し、片道の通常運賃4万3890円のところを1万3290円で購入した。
しかし、便を変更する必要が生じ、搭乗日62日前の5月30日にキャンセルしたところ、8190円のキャンセル料がかかった。
「旅割75」では「搭乗日の74日前以降のキャンセルは運賃の約63%の取り消し手数料がかかる」と規定している

記事でも紹介されているように、消費者契約法では、9条で、

第九条  次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一  当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
(以下略)

と定めていて、本件で、赤字の部分に該当して無効にまでなるかどうかは、正に「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」かどうかにかかっているでしょうね。
ただ、時々、飛行機に乗っているとわかりますが、結構、空席があることもあり、こうした「早割」制度は、早く売ることでかなり安くしつつ集客を図っているわけで、元々の価格が安い分、取消手数料も実額としては安くなっているわけですから(購入金額を基準とした割合は高いですが)、本件で言えば8000円程度のキャンセル料が、ANAが膨大な便を運行しその中で相当数の空席も抱えて飛んでいる、その空席分を計算した場合に「平均的な損害の額を超える」ものかどうかというと、感覚的にはそこまで達しないのではないか、と感じるものがあります。
なお、記事では、

弁護士は、国交省が定める旅行業約款では、国内旅行の場合、旅行業者が求めることができるキャンセル料は、旅行開始前日の20日前は旅行代金の20%以内などと定めていることから「全日空のキャンセル料は常軌を逸している」と話している。

とありますが、旅行業者は、客がキャンセルすれば飛行機やホテルなどをキャンセルできますが、航空会社は、キャンセルが出ても飛行機は飛ばさなければならないので、同列には論じられないと思います。
訴訟の結論が、航空会社に不利なものになるようであれば、LCCのビジネスモデルにも影響が出てくる可能性があって、興味深い訴訟ではあるという気がします。