「信じたい」「ごまかされた」 小保方氏会見どう映った

http://www.asahi.com/articles/ASG497K0XG49PTIL03L.html

STAP細胞の論文が不正と認定された問題で、9日に大阪市内で記者会見した理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(30)。約70日ぶりに姿を見せ、STAP現象の真実性を自ら訴えた会見は、テレビやネット上で生中継され大きな注目を集めた。小保方氏の発言を、人々はどう受け止めたのか。

私は弁護士なので、そういう目で会見を見たのですが、この会見の狙いとしては、

1 理化学研究所により悪意あるねつ造などと認定されている点について、悪意(故意)ではなく過誤(過失)であると主張し、今後の懲戒処分を有利な方向へと進めること
2 論文の問題とSTAP細胞の存在を切り分けるべきだと主張し、STAP細胞の実在を強く印象づけること
3 メディア・スクラムによる様々なバッシング、風評被害に対し反論することで、これ以上のイメージ低下を防止し不利な流れを変えること

にあったのではないかと、見ていて感じました。
会見自体としては、言いたいことは整然と述べられていて(入院していた、とされている割には事前の綿密な準備を感じましたが)、質問に対する受け答えにもミスは特になく、また、随所に「涙」がちりばめられていたり哀願調で訴えかける場面があるなど見ている人の同情を誘うような要素も盛り込まれ、この種の会見としては成功している部類に入るのではないかという印象を受けました。
ただ、上記の1、2については、会見でうまく言い抜けたからどうなる、というものでもなく、結局は、やったことの内容により認定されることで、また、話の中で持ち出される事項(研究ノートや再現に成功したという人物の存在など)について具体的な根拠、資料としては提示されていないものも少なからずあって、疑問は疑問として残ったと考えざるを得ませんでした。3についても、見ていた人が受けた印象は良い、悪い、それぞれであったようで、記者会見をすることで、より注目を集めてしまったことは、今後、かえってマイナスにも働きかねず、成功したとは直ちに評価できないのではないかという印象を受けました。
記者会見としては成功したものであったものの、その効果は、となると疑問符が付くものであった、というところでしょうか。