徳洲会事件「検事が弁護士装う」と抗議

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131220/k10014012341000.html

被告(50)が今月18日、東京拘置所の職員から「弁護士面会だ」と言われ、勾留されている部屋から出たところ、弁護士ではなく特捜部の検事が待っていたということです。
そして、被告が拒否したにもかかわらず、検事は起訴された内容を認めている被告の妹の話題を持ち出すなどして取り調べを行ったということです。

私は、前の建物の当時の東京拘置所で、特捜部の応援に入って被疑者を取調べたことが何度かありますが、特捜部専用の取調室や待機スペース(そこでお茶を飲んだり会議を開いたりもできる)があって、そこに専従の東京拘置所職員もいて、取調べを行う時はその職員に告げて被疑者を呼び出し連行してもらっていた記憶があります。現在も、そのようなシステム自体は変わっていないはずで、そういう中で、なぜこのような話(そういう事実があったかどうかも含めて)が出てくるのか理解に苦しみます。東京拘置所の職員が間違えたのではないか、という声もあるようですが、そもそも弁護士接見とは呼び出すシステムが違うので、間違うということも考えにくいものがあります。
公安部が対象とする被疑者は、取調べ自体を拒否したり完全黙秘する、というのが日常茶判事で、検事もそういう被疑者に慣れていますが(と言っても最近はそういう典型的な公安事件自体が減って検事も慣れていないかもしれませんが)、特捜部が対象とする被疑者は、大体がホワイトカラーで「体制内」の人々ということで否認はしていても取調べを拒否したり完全黙秘ということはまずありません。特捜部の検事は、そういう環境の中に身を置いているため、取調べ自体を拒否したり完全黙秘する、といった被疑者には慣れていなくて、そうであるが故にどたばたしてしまい何らかのしくじりを犯した、ということはあるかもしれません。
私は、公安部でオウム真理教の信者を日夜取調べる一方で特捜部の応援に投入されて、一時期、公安部と特捜部を行ったり来たりしていて、特捜部の被疑者は、否認していても普通に取調べできるし苦しくなってもマントラを唱えたりしないし普通に笑顔で言葉を交わせて取調べしやすい、楽だなと相対的に感じていたことが思い出されます。
特捜部は、上記のような抗議が出ないように、細心の注意を払い取調べの適正を心がけるべきでしょう。