「彼女が乱暴されている」勘違いで相手殴って逮捕…「正当防衛」が成立する可能性は?

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180418-00007739-bengocom-soci

勘違いであっても「正当防衛」は認められるのだろうか。
「勘違いで他人が襲われていると思って、正当防衛行為に及んだ場合を『誤想防衛』と言います。そういう誤想(思い違い)に基づいていても、ほかの正当防衛の要件を満たしていれば、犯罪は成立しないというのが判例です。
また、誤想した状況に対する防衛行為が行き過ぎた場合を『誤想過剰防衛』と言います。『防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、または免除することができる』という規定に基づいて処理されます(刑法36条2項)」

私が、昔、司法試験の勉強をしていた頃は、故意責任の本質について、「規範の問題に直面しながら、敢えて乗り越えて行為に及んだ点に強い非難が加えられる」と学んだものでした。その意味で、誤想防衛は、存在しない急迫不正の侵害に対して反撃するわけですから客観的には違法行為であっても、規範の問題、すなわち「特定の行為を行なってはならない」という問題を乗り越えて行為に及んだわけではないことで、故意責任が問えず、また、誤想過剰防衛も、元々の誤想が考慮されて、責任主義の観点から刑の減軽、免除が可能ということになるのでしょう。
弁護士ドットコムに依頼され、できるだけわかりやすくと思いつつ解説してみたのですが、読者の理解可能なものになっているでしょうか。さらっと書いているように見えても、これもそうですが、こういった解説ものは、わかりやすさを目指し、書いては消ししつつ、工夫しつつ書いていることが多いものです。