http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130620-00000040-mai-soci
村瀬裁判長は「前科と新たな罪に顕著な類似性が認められる場合に死刑が選択される」とした上で、心中目的などで妻子2人を殺害した前科と今回の強盗殺人に「類似性は認められない」と指摘。「1審は前科を過度に重視しすぎた。裁判員が議論を尽くした結果だが、刑の選択に誤りがある」と判断した。
殺害被害者が1名の場合、通常は死刑が回避される傾向がありますが(犯行の悪質性、残虐性から被害者1名でも死刑が選択されたケースもありますが)、前科が殺人を含むものである場合に、その点を重視して被害者1名でも死刑が選択されることがあります。ただ、確かに、過去のそういったケースでは、「前科と新たな罪に顕著な類似性が認められる」ことが多かったと言えるでしょう。本判決はその点を重視したものですが、ただ、本件の被告人の前科は、今回の強盗殺人とは異なる無理心中とはいえ、妻子2名の貴い生命を奪ったもので、本件で(有罪であれば)3人目の生命を、それも利欲目的で奪ったものですから、死刑制度の存在を前提とする限り、死刑の選択がおよそ許されない事案とも考えにくく、限界事例と言えるのではないかと思います。
ここまでくると、高裁のどこの部にあたるか、にもよるところで、当たり外れ、という問題も起きてきますが、外れたから死刑、というのも、人の生命に関わるだけに由々しき問題で、量刑が重すぎて不当ではないか、という疑問が払拭できない以上、裁判員裁判による結論とは言え死刑を回避した高裁判決は、評価すべきではないか、という印象を受けます。
非常に難しい判断であり、高裁としても究極の選択であった、ということを強く感じますね。
追記: