提出メモに検察幹部の実名 訴訟で揺らいだ日経「取材源の秘匿」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120825-00000553-san-soci

この訴訟の過程で、日経側は記事の正当性を主張するため、当時の大阪地検幹部2人から取材した内容のメモを証拠として地裁に提出した。メモには、幹部2人の実名や取材のやりとりが含まれていた。

記事はこれらの取材をもとに書かれたが、今年6月の判決は「取材活動は記事を正当化するには到底足りない粗末なものだった」として名誉毀損を認定、日経側に600万円の支払いを命じた。

日経新聞のケースのような名誉毀損訴訟では、訴えられた報道機関が「報道内容が真実であるか、真実と信じる相当の理由がある」ことなどを立証しなければ免責されない。しかし、そのためには取材源の開示が必要になる、というジレンマがある。

取材源まで明らかにしたにもかかわらず、「取材活動は記事を正当化するには到底足りない粗末なものだった」と断じられて敗訴、というのも失笑ものの情けない話ですが、事は笑い話で済むようなものではなく、重大な職業倫理違反で、こういうことをやらかしているような報道機関に、危険を冒して情報を提供しようという者はいなくなってしまいかねないでしょう。正に、報道機関の自殺行為と言っても過言ではないと思います。
他に、指摘すべき点としては、現状のような、自ら関係者から事情を聴取するなどした上での報道ではなく、捜査関係者に取りすがり、夜討ち朝駆けなどと称し、捜査関係者のリークする(その中には真偽不明なものも含まれ、情報操作に利用される危険も多分にある)情報に安易に依存し、捜査機関に取り込まれながらいい加減な情報を垂れ流している事件報道の在り方、ということもあるでしょう。取材源まで明らかにしたのに「取材活動は記事を正当化するには到底足りない粗末なものだった」とされ敗訴、という失笑ものの経過は、そういった、粗末な事件報道の在り方に対する警鐘という意味も持っているのではないかと思います。
日本経済新聞に、危険を冒して情報提供しようとする人は、取材源として保護されず危険にさらされてしまいかねない、ということを十分覚悟しておくべきでしょう。