テロ等準備罪 一般市民は非対象

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170217-00007529-houdouk-soci

金田法相は「正当な活動を行っていた団体について、結合の目的が犯罪を実行することに一変したと認められる状況に至らないかぎり、組織的犯罪集団と認められない」としたうえで、「認定するかの判断は、裁判所が行うもの」と述べ、一般市民がテロ等準備罪の対象にならないことを、あらためて強調した。

犯罪捜査というものは、裁判所が行うものではありませんから、具体的に何らかの事件を立件、捜査するにあたっては、まず、捜査当局(特に警察)の判断が先行します。上記のような、「正当な活動を行っていた団体について結合の目的が犯罪を実行することに一変した」という判断は、まずそのようにして行われることになります。捜査当局が動けば必ず起訴されるわけではなく、いわゆる公安事件(治安が絡むような事件)の多くは処分が不起訴になるものですが、捜査がそのようにして動けば、裁判所が出す令状(捜索差押許可状、逮捕状、勾留状等)は、捜査機関が構築したストーリーに基づいて捜査機関のペースで出るもので、そこはいわば捜査機関のフリーハンド状態というのが日本の令状実務の現状です。その傾向は、特に公安事件では強いものがあります。
法務大臣は、裁判所を引き合いに出していますが、そういった刑事実務に照らすと、上記のような「正当な活動を行っていた団体について結合の目的が犯罪を実行することに一変した」という判断が、捜査機関により恣意的に行われ、マスコミへのリークもされながら、不起訴にはなっても社会的に大きな打撃を被らせる形で行われる、そういう危険性はかなり出てくるのではないかと思いますし、そういったことは一般の人にはわかりにくいことですから、それだけに危険なものがあると私は危惧しています。何ら問題がないかのように語られた建前が、その後、大きく裏切られるという歴史が繰り返されてきたことにも思いを致す必要があるでしょう。