仙台・強殺事件:高裁が裁判員裁判判決差し戻し

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110720k0000m040096000c.html

1審判決は殺人の共謀は否定し、強盗致死罪にとどまるとした。これに対し高裁は「被告の法廷での供述でも、現場で暗黙のうちに共謀が成立していた可能性が濃厚」と指摘。さらに▽争点整理が不十分▽検察側主張を正しく把握していなかった−−などと裁判員の審理を批判した。
差し戻し審は新たに裁判員を選び審理される。

共犯者との、強盗殺人に関する共謀が問題になったようですが、「黙示の共謀」という、裁判実務上、認定されることが少なくない共謀が、裁判員にはわかりにくかった可能性があるでしょうね。それ以前に問題なのは、記事で、「争点整理が不十分」と指摘されていることで、どういった点に不十分さがあったのかはよくわかりませんが(おそらく共謀の態様に関するものと思われますが)、争点整理が不十分では裁判員裁判の前提が崩れてしまうことになり、公判前整理手続がどのように進められたのか気になります。
今まで刑事裁判実務で築き上げられてきた共謀概念自体にも反省は必要ではありますが、理解がなかなか難しいもので、そもそも一般人がその概念を理解した上で事実認定を行うようにはできていないと言っても過言ではなく、裁判員制度の本質的な問題点が露呈したと言えるかもしれません。
上記の高裁判決は、いずれ、判例誌でも紹介されることになると予想されますが、是非、読んでみたいと思っています。