指揮官の決断―満州とアッツの将軍 樋口季一郎 (文春新書)

指揮官の決断―満州とアッツの将軍 樋口季一郎 (文春新書)

指揮官の決断―満州とアッツの将軍 樋口季一郎 (文春新書)

1938年に、ソ連・旧満州国境のオトポール駅まで避難してきたユダヤ人が、満州国(当時)のビザが出ず入国できずにいた際、ハルピンの陸軍特務機関長であった樋口少将(当時、終戦時は中将)が動き、満州国を経由して上海に移動させることに成功し多数(2万人も言われる)のユダヤ人を救ったことは有名ですが(オトポール事件)、その樋口氏の生涯を丹念に追った力作です。
オトポール事件だけでなく、樋口氏が、司令官として玉砕を命じざるを得なかったアッツ島守備隊についても、その当時の状況が紹介されています。政治に関わらず、与えられた職務に黙々と取り組んだ、戦前の良質な軍人の姿が浮き彫りになり(悪弊も多くあったわけですが)、こういった良き伝統が、現在、東北関東大震災の被災地で被災者救援に日夜懸命に取り組んでいる自衛隊に、脈々と受け継がれているのではないかという印象を強く受けました。