岡崎市立中央図書館、検索システム障害に関して「クローラー使用の男性に非なし」との声明

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110225/357711/

この問題に関して岡崎市立中央図書館は今回、「事案発覚当時は、当館としては原因の詳細が分かりませんでした。しかし、現在では、ご本人様が行った図書館サイトへのクローリングが、技術的に一定の配慮が施されたもので、その意図も図書館システムの利便性を補おうとするものであったことと理解しています」とし、中川氏に非がなかったことを明言した。
また「当館は、その後の調査の結果、閲覧障害の真因は、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社が開発した図書館システムにあり、同社の不十分な対応が周知のような残念な状況へ導いたものと考えています」と述べ、MDISの開発したプログラムに問題があったことや、閲覧障害時の対応をMDISが誤ったことから、中川氏が逮捕される事態を招いたとの見方を示した。

この問題については、私自身も、

図書館Webサイトへのクローラを実行して逮捕された男性、不起訴に
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100622#1277165981
岡崎市立中央図書館事件について
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100624#1277311161
図書館HP閲覧不能サイバー攻撃の容疑者逮捕、だが…
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100821#1282355967
なぜ逮捕?ネット・専門家が疑問も 図書館アクセス問題
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100822#1282466247

とコメントしてきましたが、岡崎市立中央図書館側の対応は、当初、かなり問題があったものの、その後、問題点について、反省すべきは反省し、上記の記事にあるような見解を表明している点は、評価できると言えるでしょう。ただ、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社に問題があったにしても、図書館側も発注元としてきちんとフォロー、管理する責任はあったと思われ、そこは謙虚に自覚してほしいという気がします。
私は、刑事事件に接することが多い実務家ですから、上記のエントリーで指摘したように、本件の捜査における問題点が気になりますし、今後、同様の誤りを犯さないようにしてほしいと感じます。技術的なことがわからなければ、わからないと言って開き直るのではなく、謙虚に臨み、わからないことをはわかる人によく聞いて、身柄を引き急いだりせず、慎重に捜査を進めてほしいと思います。捜査機関にとっては、数ある多くの事件の1つに過ぎなくても、捜査対象になる人にとっては、一生に一度あるかないかの、大変な事態であり、捜査対象になり身柄まで取られてしまうことが、その人の人生に、取り返しがつかない深刻な影響を与えかねないということを念頭に置かなければならないでしょう。捜査というものは、強制力を伴い行われるもので、使い方によっては人を生かしもすれば殺しもする、殺して取り返しがつかないことになることもある、ということを忘れてはならないと思います。
名古屋地検岡崎支部が出した、起訴猶予という処分も、処分時には判明していなかった重大な事情がここまで明らかになった以上、見直されるべきでしょう。