http://www.asahi.com/national/update/0920/OSK201009200135.html
http://www.asahi.com/national/update/0920/OSK201009200135_01.html
http://www.asahi.com/national/update/0920/OSK201009200135_02.html
特捜部は捜査の過程で、上村被告の捜査段階の供述などを根拠に「村木氏による上村被告への証明書発行の指示は『6月上旬』」とみていた。だが、証明書の文書データが入ったFD内の最終更新日時が6月1日未明と判明。村木氏の指示が5月31日以前でなければ同氏の関与が裏付けられず、最終更新日時が6月8日であれば上村被告の供述とつじつまが合う状況だった。
朝日新聞の取材に応じた検察関係者は「主任検事から今年2月ごろ、『村木から上村への指示が6月上旬との見立てに合うよう、インターネット上から専用のソフトをダウンロードして最終更新日時を改ざんした』と聞いた」と説明。FDの解析結果とほぼ一致する証言をしている。
従来の検察実務、倫理に照らすとあり得ない話ですが、ストーリーを作り、それに見合った証拠を作って行くとうことに血道を上げていると、こういった証拠物までストーリーに沿うように改ざんするようになる、ということでしょうね。刑事司法の根幹に関わる、重大な問題と言えるでしょう。
その背景には、検察庁が証拠資料を抱え込み、捜査段階はおろか、捜査が終結しても、証拠開示にはなかなか応じようとせず抱え込んだままで済ませられるという現行の法制度の問題があると思います。捜査が終結すれば、証拠資料の管理は裁判所が行うようにして、検察庁が勝手にいじれないようにしないと、今後もこのような不祥事が起きる可能性は高いでしょう。
それにしても、検察庁は落ちるところまで落ちてきたな、というのが率直な印象ですね。
追記:
【郵便不正】村木・元厚生労働省局長と文書偽造事件の経過
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100910/trl1009101417013-n1.htm
を見ると、
21・4・16 大阪地検特捜部が郵便法違反容疑で凛の会設立者の倉沢邦夫被告らを逮捕
5・26 稟議書を偽造したとして厚生労働省の上村勉元係長らを逮捕
6・14 証明書を偽造したとして村木厚子元局長ら4人を逮捕
7・4 村木元局長ら4人を起訴
22・1・27 村木元局長が初公判で起訴状の内容を否認
という経過で、上記の朝日の記事にある、
その書き換えは昨年7月13日午後だったことも判明。この日はFDを上村被告側に返す3日前だった。
というのは、起訴から9日後という、起訴後間もない時期であったことがわかります。
ここからは、あくまで推測、可能性になりますが、主任検事としては、フロッピーディスク上の更新日時が、検察ストーリーと合わないことに気付き、改ざんして返却したものの、実際の正しい更新日時を記載した捜査報告書(改ざんの時点では、起訴直後で、まだ被告人、弁護人に開示されていなかったはず)の改ざん、廃棄には、何らかの理由で失敗したか、その存在を失念したまま、公判前整理手続の過程で被告人、弁護人に開示されてしまったことが考えられます。主任検事は、捜査経験が豊富でも、公判、特に、最近の公判前整理手続の実態には疎い可能性が高く、まさか、捜査報告書が被告人、弁護人の手に渡るとは考えず(従来の証拠開示実務では開示されない部類に入るでしょう)、フロッピーさえ書き換えておけば検察ストーリーが維持できると安易に考えてしまったのかもしれません。
証拠隠滅、というものは、多くの場合、中途半端に行われて失敗する可能性が高いものですが、検事がやっても、やはりそうだった、ということになりそうです。