http://www.asahi.com/national/update/0915/OSK201009140130.html
検察関係者によると、地検は14日、この判決を踏まえて特捜部や公判部などの幹部が控訴できるかどうか協議。控訴したとしても(1)捜査段階に作成された供述調書などが関係者の手帳などの客観的証拠と矛盾しており、信用性が認められない可能性が高い(2)有力な証拠を新たに出せる見込みがほとんどない――などとして、「控訴は困難な状況」と判断したという。
検察庁の「問題判決」に対する対応は、私がいた頃と基本的には変わっていないと思いますが、まず、原庁で控訴審査を行い、指名された主査(公判に立ち会っていた検察官が務める場合が多いものの別の検察官が務める場合もあります)が資料を作成し、原庁内の検察官(公判部があれば公判部の検察官、捜査部の検察官、決裁官が出席することもあります)が集まって協議し、一応、出席者の賛否を確認します。
ただ、検察庁というのは多数決で物事が決まる民主的な組織ではないので、控訴審査の結果を踏まえつつも、部長(公判部長、本件で言えば特捜部長等の幹部)、次席検事、検事正の意向が大きく影響し、最終的に原庁としての意見が決まります。
その上で上級庁(高検、最高検)へ報告の上、決裁を受けるということになりますが、通常、原庁が不控訴意見であるのに上級庁が控訴意見で控訴になる、ということは、まずないものです(逆はよくありますが)。検事控訴というものは、元々、原判決破棄が見込まれる相当な見込み、見通しがなければしない、というのが検察庁の基本的なスタンスで、原庁が不控訴意見のものをわざわざ控訴はしないしできない、ということになりやすいものです。
ただ、本件は、特別、特殊な案件であり、大阪地検が不控訴意見に立っていても、メンツを重視するなどして、上級庁の意向が強く働いた控訴ということになる可能性もあって、予断を許さないものがあるのではないかという気はします。