http://www.spork.jp/2009/10/post-111.php
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また立証についていえば、弁護士のなかでパワーポイントを使う人が少ないように思います。視覚に訴えるよりも言葉の力を重視する傾向があるようです。
検察側はパワーポイントや写真などをよく使います。その点裁判員に与えるインパクトに差を感じることも多少見受けられます。一方で,プレゼンテーションの質と事件の本質は分けて考える必要があると思います。また分かりやすさを追求した結果極端化され、判断に必要なエッセンスが抜け落ちてしまう危険性も考えられます。
言葉の力を重視するというより、視覚に訴えるスキルがない、ということでしょうね。
従来の法曹養成制度の中では、あくまでプロがプロに対して訴えるということが当然の前提になっていて、いかに説得的な書面を作成するか、ということが教育の中心で、口頭による表現を問題にしていたのは尋問技術程度であったと言っても過言ではないでしょう。尋問技術も、「習うより慣れろ」的な、見よう見まねで覚えるという状態で、実務家の間でも検討は低調なものでしかありませんでした。
そもそも、検察庁の中でも、捜査を担当する検事こそ花形とし、公判検事を軽く見る風潮が根強くあり、自分はもう何年も公判を担当せず捜査を担当している、などと自慢げに語る検事が、かつてはごく当たり前のようにいたものでした。そういった風潮の中では、現在、大きく問題になっているような、裁判所、裁判員に対する表現力、説得力といったような側面、スキルが顧みられることすらなかった、と言っても過言ではないでしょう。
今後は、法曹養成制度の中で、どの段階で行うかは検討の余地がありますが、表現力、説得力、裁判員にもわかりやすい尋問技術といった能力、スキルを身につけることができるような研修プログラムといったことを、きちんと織り込んで行く必要があります。ただ、そういったことを誰が教えるのか、という問題があり、残念ながら、現状では教える側の人員が極度に不足していると言わざるを得ないでしょう。