「ずるいんじゃない」「勘弁してくださいよお」弁護団公表の取り調べとは…

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/310661/

検察官「君から変なことを聞いたので今日来た。DNA鑑定でね、君と、君の体液と一致する体液があるんだよ」
菅家さん「全然それ、分かんないんですよ、本当に。絶対、違うんです」
検察官「君と同じ体液を持ってる人が何人いると思ってんの」
菅家さん(沈黙)
検察官「どうなんだい。ずるいんじゃないか。君、なんでぼくの目を見て言わないの、そういうこと。さっきから君は、僕の目をなんども見てないよ」
菅家さん「ごめんなさい、すいません。ごめんなさい、勘弁してください。勘弁してくださいよお。勘弁してくださいよお。すいません」
その後、菅家さんはあらためて、足利事件を“自白”した。

以前に、

虚偽自白
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050128#1106841589

で、

こういう経験があったので、私は、虚偽自白というものが実際にあって、その原因が、取調官の間違った強い思い込みである、ということを痛感した。その後も、否認している被疑者を何人も取り調べたし、その結果、自白した被疑者もいたが、自分の見方を一方的に強くぶつける、ということは避けて、また、やむをえずそういう場面があった場合も、被疑者の主体的に供述できる環境が失われないように注意して、それまで以上に慎重に取り調べを行うようになった。

と述べたことがありますが、改めてしみじみと、取調官の間違った思い込みが取り返しがつかない冤罪を生むことがあるということを感じさせられます。
当時は、上記のような取調べが、信頼関係を構築したことで否認から再び自白に転じ真相が解明された、などと自画自賛されていた可能性もあって、密室における隔絶した力関係の下における「信頼関係」というものが、時に真相解明に資する場合があっても、常に大きな危険性を持つものでもあるということは
忘れるべきではないでしょう。