ロシア人男性を無罪 「見えぬ取調べ、自白判断できず」

http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY200803180359.html

男性は07年6月、富山県警に逮捕され、捜査段階で共謀を自白したとされた。男性は初公判で起訴事実を否認。警察で高圧的な取り調べがあったとして、自白調書の任意性を争っていた。手崎裁判長は「取り調べの可視化が実現されていない現状で(警察と被告人の)どちらの信用性が高いとも断定できない」と述べた。さらに県警の捜査官が、男性の行動を「共犯になる」と説明した後、男性が自白したことについて「不当な誘導となった疑いが残る」として任意性にも疑問を呈した。

あくまで上記の記事を見た限りですが、従来であれば、取調官と被告人の言い分が対立し、一種の水掛け論になれば、取調官に軍配を上げるのが通例であった裁判所の傾向、姿勢が、可視化が実現されていない現状を批判的に見つつ、徐々に捜査機関に厳しく臨む方向で動きつつあるのではないか、という印象を受けます。また、取調官による過度の断定、決め付け、誘導といったことも、取調べについて問題になることがよくありますが、従来であれば信用性レベルで判断されていたものが、任意性のレベルで、しかも任意性を否定する方向で判断される傾向にあるという印象も受けます。
自称「有識者」を集めてアリバイ作りの会を催し、取調室を外からのぞけるようするなどの姑息な手段でお茶を濁しごまかそうとしても、ごまかせず逃げ切れないところまで捜査機関が追い込まれつつある、ということが言えるように思います。