<脱税容疑>出国の公認会計士に逮捕状 東京地検

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090727-00000147-mai-soci

関係者によると、会計士は養子縁組で姓を変えてパスポートを取得し今月、香港経由で海外に出国したという。特捜部は13日に逮捕状を取り、通報を受けた外務省は24日付で旅券返納命令を出した。

上記のような旅券取得自体の違法性、犯罪にならないかについて、旅券法を見てみたのですが、手元に文献がないため、あくまで法文を見る限り、ですが、旅券法で、

(旅券の二重受給の禁止)
第4条の2 
旅券の発給を受けた者は、その旅券が有効な限り、重ねて旅券の発給を受けることができない。ただし、外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。

という規定があり、上記の記事にある取得が「二重取得」に該当すれば(該当しそうですが)、4条の2違反ですが、罰則は見当たりません。
旅券関係の不正行為を処罰した23条1項で、

(罰則)
第23条 
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1.この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者
2.他人名義の旅券又は渡航書を行使した者
3.行使の目的をもつて、自己名義の旅券又は渡航書を他人に譲り渡し、又は貸与した者
4.行使の目的をもつて、他人名義の旅券又は渡航書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
5.行使の目的をもつて、旅券又は渡航書として偽造された文書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
6.第19条第1項の規定により旅券の返納を命ぜられた場合において、同項に規定する期限内にこれを返納しなかつた者
7.効力を失つた旅券又は渡航書を行使した者

とされている中の、特に1号の「この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為」に該当する可能性はあって、ネットで出ている一般旅券発給申請書の書式を見ると、旧姓も含め、過去に取得したことがある旅券の有無や、ある場合の旅券の内容等を記入する欄があるので、上記の記事にあるような取得の際、その点について虚偽記載をしていれば(その可能性は高いでしょう)、23条1項1号には該当しそうです。
養子縁組して姓を変えれば二重取得できる程度の本人確認しかしていない旅券制度というものも、今時、時代遅れではないかという気がします。